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大言小語 今、なぜ、自転車か

 以前、田舎と呼ばれる郊外で、1年ほど暮らした。そこでは車は一人一台の必需品。誰もが車で移動する。90歳に近い高齢者も含めて。

 ▼確かにバスの本数も少なく、町の機能も散在している。もともと寂しい町なのだ。駅前商業ビルの大手スーパーも、40年ほどの時を経て、昨今、撤退した。区役所は駅から歩いて、30分以上もの場所にある。そこまで田んぼや畑の畔道を歩きながら向かう。

 ▼「車を乗りこなせなければ、いい仕事はできねえ」などと言われても、説得力なし。これくらいの距離は歩いたら?という場合も、必ず車。依存しすぎだろ? それに比べれば、不健康に思える都会の人間のほうが、はるかに歩いている。

 ▼5月1日に自転車活用推進法が施行され、国土交通省は自転車活用推進本部を設置。自転車のメリットは環境に優しく、運動にもなること。現在では電動アシスト自転車が人気となっている。これが今後、更に普及すれば、駅からの距離も近くなり、地価の動向にも大きく影響があるとされる。

 ▼国によるコンパクトシティ施策でも、都市全体における歩行量を把握することが重要だとされている。脱車両から歩いて暮らせるまちづくりが、人口減少や少子高齢化に対処する「まちづくり」の基本となりつつある。

 ▼歩いたほうが、健康にもいいし、長生きできる。