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大言小語 神話はどこへ

 90年代バブル以降、土地神話が崩壊して久しいが、近年、新築神話も大きな転換期を迎えた。それまで良質な新築住宅の供給を柱にしてきた住宅政策が大きく舵を切り、住宅・不動産市場はストック市場へと一斉に向かい始めている。東京都心においては、用地不足も重なり一足先にストック市場が台頭してきている。一方で、所得の伸び悩みにより割安な中古住宅を求める実需が確実に膨らみつつもある。それらをリノベーションや大型リフォームが後押ししている。

 ▼もうひとつ、声高に叫ばれているのとは裏腹に、国民生活を支えている大事な安全神話も風前の灯だ。自然の猛威といえる大災害が頻発していることは百歩譲ってやむを得ないとしても、凶悪な犯罪が日常茶飯事となり、組織による不正、施設・設備の老朽化にまつわる事故や事件も目立つ。そんな話を聞かない日がないほど、安全が脅かされている。

 ▼今日の日本を見て、誰が安全な国だと自負できるだろうか。確かに戦乱が続いたり貧困が著しいなど、日本以上に危険と背中合わせの国はいくつもある。しかし、それらと比べることは意味がない。安全は高まることはあっても、後退は許されないからだ。3つの神話はどこへ向かうのか。どれも国民生活と密接に関わり優劣はないが、国際化の波が押し寄せる中、安全だけは是が非でも守り通さなければならない。