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大言小語 企業の社会的責任とは

 企業の社会的責任とは何か。世に役立つ商品やサービスなどを提供する、利益を出して相応の税金を納める、更に多くの雇用を確保する――ことで国や地域に貢献し社会を安定化させることだと教えられた。だが、その答えはグローバル企業と地場産業、大企業と中小零細企業、上場企業と非上場企業などに立場によって違ってくる。企業は誰のものか。企業は成長して利益を出さなければ存続できないし、利益至上主義では歪みが生じかねない。バランスが難しい。

 ▼15年を振り返ると、最先端をいく名門企業で経営者が経営の王道を踏み外す問題が相次いだ。東芝の不正経理問題では歴代3社長らの責任が問われた。表面上の利益を捻出するため様々な経理操作を繰り返して、優良企業の体面を装うために、強引なノルマや不正を強要したことが発覚。株式市場を混乱させた。また、日本でも支持者の多いドイツのフォルクスワーゲン。傘下の高級車ブランドなどを含め、排ガス規制規制逃れ問題を起こし、世界的な信用問題に発展した。他に幾つも、うそ・偽りが社会を混乱させた事例が続出した。

 ▼「保身のためにいい数字を残そうと経営者が『誘惑』に負けた典型的な事例」とある企業トップ。「おそらく現場からものが言いにくい、風通しの良くない企業風土だったのだろうが、それも経営者の責任。経営者は襟を正し、〝初心忘れるべからず〟だ」。噛みしめたい言葉である。