政策

大言小語 江戸城のうわさ話

 来年は、江戸に幕府を開いた徳川家康の没後400年にあたる。その江戸の街の中心だった江戸城を再建する話が巷でうわさされているようだ。

 ▼初めてこの話を耳にしたのは、1年ほど前。不動産投資の関係者との取材の席上だ。来日する外国人投資家たちに東京の街を紹介したり、案内する機会が多い人物で、東京を象徴する江戸城が復元すれば、東京人気が一層盛り上がるということだった。また、あるハウスメーカーの関係者とも、江戸城復元で盛り上がった。日本の木造大手の同社にとって、まさに望むところ腕の見せどころといったところだろう。

 ▼20年には五輪・パラリンピックが開催される東京。世界の主要都市が景気後退局面にさらされるなかで上げ潮にある数少ない都市だが、20年が近づくにつれて「五輪後」という心配の種も一方で浮かび上がる。そうした中で東京を象徴し、歴史舞台としての存在感もある江戸城は、五輪後も外国人にとどまらず国民も惹きつける最高の材料といえそうだ。

 ▼誰が施主になるのか、建設費はいくらぐらいか、更に政治とも絡みそうで再建へのハードルは高い。しかし、地元の城跡に物足りなさを感じる声は地方でも多く聞かれる。江戸城が話題になっていることを思うと、庶民は賛成多数といったところか。うわさは、いつ真実になってもおかしくない。