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大言小語 〝角〟の効用

 不動産の世界では、〝角地〟は価値が高い。2方向の道路に面しているので視界が開け、東南角地であれば日当たりが抜群だ。そういえば、居酒屋のカウンターも〝角〟は効用が大きい。2人でコーナーに座ると直角に向き合うので、なんとなく話がしやすいし、前に並べた料理も食べやすい。

 ▼斜めの効果とは何か。例えば対談でも、両者が正面ではなく斜めに向き合ったほうが話が弾むようだ。先日も、そういうかたちで対談をしてもらった。しかし、司会役の筆者はどこに座っても、どちらかの対談者と正面で向き合うことになる。案の定、向かい側に座った相手に話しかけるときは緊張を覚えた。

 ▼某居酒屋のカウンターはL字型の短い辺が禁煙席になっている。ただ、長い辺も〝角〟だけはやはり禁煙にしてある。そうした細かい気配りが受けて女性客も多く、いつも繁盛している。その店のもう一つの特徴は7割ほどの客が、名前で呼ばれていることだ。「○○さん、ホッピーと煮込み」といった具合。チェーン店の「○番テーブル、○○ご注文いただきました」とは、だいぶ風情が異なる。

 ▼どうしたら客の心に響くサービスが提供できるか。それがこれからのビジネスの肝(きも)だ。角地や角部屋の人気が高いもう一つの理由は、角に立つと外観を同時に2方向から見ることができるので立体感が生まれ、親しみを覚える。商品を多方向から見てもらうことが顧客満足の秘訣である。