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大言小語 仕入れあれこれ

 用地不足で仕入れにしのぎを削るマンション各社だが、無理な高値づかみを警戒するのは当然のことだ。たまに想定価格を大きく上回る入札があったという話も聞くが、相場に影響を与えるものではない。不動産は、加熱しそうで、度を越さないあたりが適正なのだろう。

 ▼仕入れは、不動産業の永遠のテーマだ。ファンド系では主に実物不動産、証券化、M&Aなどが投資の王道だが、中にはCREを絡めた息の長い案件開拓に取り組むファンドもいる。ある仲介大手の支店長はかつて、老人ホームに入所する高齢者を顧客に持ち、商談に足しげく通っていたが、そのうちに不動産の困りごとを抱える施設の友人を顧客から次々に紹介され、取引を一人占めしたともいう。

 ▼響きこそ良くないが、地上げもまた、難易度の高いプロならでは仕入れのひとつだろう。PM会社のある社長は、日中は社長業務をこなし、夕方になると部長名刺を持って「地上げ」のために外勤に出かけると話す。とはいえ、れっきとした大手商社系企業の社長であり、いわゆるかつての「地上げ」ではなく正攻法のビジネスとして商談に臨んでいるのは言うまでもない。

 ▼「物件が豊富だろうが枯渇していようが、限られた環境の中から原石を見つけるのがプロ」という言葉に習えば、それぞれの道を極めていく先には自ずと案件が見えてくるのだろうか。