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記者が解説 住宅新報web週刊ニュース記事(2025/10/14〜2025/10/20)

Pick Up!

  • 宅建試験受付2年連続30万人超
  • 不動産業の倒産件数3年連続増加
  • スタートアップ企業に出資

 1週間のランキング・トップ10から記者が気になる記事をピックアップします。今回は、10月19日に「宅地建物取引士」資格試験を控えていただけに、宅建士試験に関する記事へのアクセスが多くありました。2位の「25年宅建試験直前チェック 重要ポイント 総まとめ(2025/10/14号)」を始め、3位の「社説 宅建試験受付2年連続30万人超 人材流出を警戒し信頼築け(2025/10/14号)」、5位の「宅建士 最後に覚える重要数字(2025/10/7号)」がありました。

 本紙では、10月21日号に速報号として発行していますが、今回の試験は難度が上がっており、合格ラインを「34~35点」と想定しています。昨年の合格ラインから2~3点下がる予想です。ここ数年、得点をしやすい傾向の問題が多かったとの判断で、問題を解くハードルを上げた可能性があります。速報号の分析でも触れていますが、個数問題が多かったのが特徴です。「計算問題の組み合わせで時間をかけさせよう」、こんな受験者の感想もあり、各科目ともに基本的事項でのケアレスミスが命取りなってくる公算が大きいです。

 次に挙げるのが、7位の「不動産業の倒産件数3年連続増加 2025年度上半期、東商リサーチ(2025/10/14配信)」になります。不動産市況は好調に推移しています。大手不動産は今期も過去最高益が確実視されています。そんな中での不動産業の倒産件数の増加が続いていることでアクセスが集まったと思われです。不動産業の倒産は、地場に根付いた小規模・零細企業に集中していると思われ、その理由についても、業績不振というよりも人手不足が考えられ、「人さえいれば仕事はとれるのに」との恨み節も聞かれます。

 また、経営者の高齢化に伴う事業承継がうまくできていな側面も強く、子どもがいても「家業を継ぎたくない」というケースも少なくありません。人口減少が止まらず、市場が縮むことに希望を持てないなどが影響しています。今年の宅建試験の申し込み者は、2年連続で30万人を超えた人気資格でありますが、こうした人たちが不動産業界に入りたいと思わせるような不動産業界の取り組みが物足りないことを映し出してもいます。

 最後に挙げるのは、6位の「三菱地所、ワイヤレス給電のスタートアップ企業に出資(2025/10/17配信)」になります。三菱地所が米国・スタンフォード大学発のスタートアップ企業に出資したというニュースに引き合いがありました。出資先は、エイターリンク(東京都千代田区)になります。空間伝送型ワイヤレス給電ソリューショを提供する会社で、三菱地所としては東京・丸の内エリア全体をプラットフォームと捉え、テナント個社単独では実現しにくい取り組みをエリア全体で提供する「まちまるごとワークプレイス」構想により、イノベーションが生まれ続けるエコシステムの形成を目指します。

 大手各社は事業領域を広げつつあります。人口減少が止まらない中で、住宅・不動産業界で住宅やオフィス、商業施設といった伝統的なハコモノ開発だけでは伸びしろがないとの判断が働きます。三井不動産では宇宙ビジネスで新たなプラットフォームを創出して次世代の不動産業を目指しています。将来社会を見据えた不動産大手の取り組みは、日本が歩むべき羅針盤となりつつあります。

 

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アクセスランキングトップ10 (2025年10月14日~2025年10月20日)