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大言小語 声と音が頼りの闇の体験

 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してきた。世界約130都市で開催され、多くの人々が体験したこのプログラムは、「純度100%の暗闇の世界」が話題。案内役を務める視覚障害者の導きで、グループを組んで様々な闇の中の体験ができる。国内では、積水ハウスとの共創プログラムとして運営されている「対話のある家」(住ムフムラボ内)がある大阪と、東京でも体験できる。

 ▼季節に応じて闇のシチュエーションも変わり、8月4日で終了した夏バージョンは「僕たちの夏休み」がテーマ。案内役のグッチーも留守番役のけいちゃんも目が不自由なのに、あたかもこちらが見えて話すような声の響き具合に新鮮さを感じた。

 ▼同行者4人に白杖が手渡され、丁寧な説明を受けるとやがて暗闇に包まれる。杖をつきながら家の中へと進むが、「家の中では使わない」と玄関で頼りの白杖もお預けとなる。あとは声や音、手と足の感覚だけを頼りに家の中を巡る。テーブルを囲みおやつをいただくと不思議とおしゃべりも弾む。遠くに風鈴の音が聞こえ、縁側から庭に出て線香花火を楽しむ一コマも設けられていた。

 ▼運営側の話では、体験者に記憶を頼りに家の間取りを書いてもらうと、ほぼ全員異なる間取りになるという。視覚以外の自分の感覚がどの程度のものなのか、一度チャレンジしてみる価値がある。