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大言小語 それぞれの秋

 7年前の夏、確かにその2人は輝いていた。夏の甲子園で行われる高校野球大会の決勝。引き分け再試合の末、1人は勝者となり、1人は敗者となった。勝者はその後大学へ行き、敗者はプロへ。2人とも将来を嘱望された。

 ▼7年後の現在、敗者となった田中将大投手は東北ゴールデンイーグルスのエースとなり、年間負けなしの24勝0敗というとてつもない記録を打ち立てた。一方、勝者となった斎藤佑樹は、早稲田大学から北海道日本ハムへと入団。1年目はそこそこ順調だったものの、ケガもあり、3年目の今年はわずか1戦しか登板できずしかも6失点でノックアウト。あの夏の2人にこれだけの差がつくとは。

 ▼クライマックスシリーズ、日本シリーズに向けて調整する田中に対し、若手選手の実戦経験の場である秋季教育リーグに登板する斎藤。そして、そこで屈辱の11失点でまたもノックアウト。「もう斎藤はダメだ」との声も上がっている。勝負の世界は厳しい。

 ▼日本も状況は厳しい。アベノミクスにより持ち直しかけてはいるが、米国の債務上限問題により、デフォルトまで進むと一気に円高となり、経済成長が終焉となりかねない。だが、これまで災害が来ても、戦争になっても跳ね返してきた。斎藤が臨んでいる秋季教育リーグは別名フェニックスリーグ、不死鳥だ。また輝きを取り戻すよう期待したい。