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倉庫にまたも熱い視線

 一昔前、都心の湾岸エリアの倉庫街がプレイスポットとして脚光を浴び、おしゃれな飲食店舗などができてにぎわった。そんな倉庫が今は、不動産投資の世界でちょっとしたブームだ。近年は「物流不動産」とも呼ばれる倉庫。堅固で高い階高やスパンの広い大空間が通常の建物にはない特徴で、幅広いコンバージョンに対応できる柔軟性も好まれ注目された。

 ▼一方の投資市場では、近代化、合理化が進んだ倉庫の収益力が高まっていることが、有望な投資対象として熱い視線を浴びている。オフィスや賃貸住宅といった投資対象の賃料相場が、長らく落ち込んでいることも追い風だ。

 ▼「物流不動産」なる言葉を考えたという人物からかつて話を聞く機会があった。それによると、倉庫と不動産はスペースを賃貸する点は共通しているが、平米と立米、広さと空間という単価の捉え方からして、根本的に違う産業なのだと聞かされた。荷役や運送の業務も複雑にからまる倉庫業は、不動産業以上に奥も深い。

 ▼とは言えこの2つの産業を結びつけることが、倉庫の潜在力を引き出し、旧態依然とした倉庫業を再び成長産業に導くのだという。これに対し、投資対象として倉庫が期待されるのは、リスクが低い安定性なのだそうだ。それぞれの思惑は違うが、目指すところはほぼ重なる。似て非なる住宅・不動産業の将来を占う意味でも興味深い。