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大言小語 上野、復活の日

 今年の地価公示によると、軒並み下落の数字が並び、厳しい現実があらわになった。こうした数字には表れないが、少しずつ元気を取り戻している街がある。東京の上野だ。

 ▼上野駅がかつて東北への始発駅だった頃、大いに栄え、東北・上越新幹線も開業。しかし、後に東京駅まで延伸したことで人が『素通り』してしまう。筆者も近くに住んでいたが、どこか『あか抜けない』イメージもつきまとい、若い人の足が遠のいていった。

 ▼今、上野はいくつもの顔を持つ街と言われる。まずは、何といっても「文化の街」。駅の公園口を出ると、美術館、博物館、音楽ホールがきら星のごとく林立する。ここまで文化施設が散りばめられた街は世界でもそうはない。次に「鉄道の街」。上野駅には、地平型ホーム(13番-17番線)があり、「ヨーロッパ型で、まさにオリエント急行に乗る気持ちになる」と鉄道ファンに言わしめる代表的な情景だ。アトレ(駅中ショップ)も、イメージをアップさせた。そして、「商業の街」。常に人でにぎわうアメヤ横丁、若者が集まる多くのショップ、グルメガイドに必ず出るレストランなど、人が息づいている。

 ▼かつて年寄りの街と揶揄(やゆ)された浅草は、歴史を感じさせながらも現代的な顔を併せ持つ街へと変貌を遂げた。上野も「パンダ復活」など、まだ変わっていく。これからも追い続けていきたい街だ。