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手元資金ゼロでリノベーション可。各鉄道会社の空家対策への取り組み

連載 日本が抱える不動産問題に立ち向かえ!「空き家」活用のススメ

この記事を読むのに必要な時間:約5分

京急電鉄の取組み

京急電鉄は2017年3月に「京急グループが手元資金ゼロでのリノベーション付きサブリース事業に参入」として「カリアゲ京急沿線」をスタートした。空き家問題で困っている沿線オーナーの需要に応えるというものである。

利用客の多い駅とのアクセス良好な京急電鉄

京急線は羽田、成田、品川などといった利用客の多い、今後も増えそうな場所とのアクセスが良い一方で神奈川県内では三浦や横須賀などの人口減少地域も抱える

「カリアゲ」とは500戸以上の改修実績を持つルーヴィスが展開する、空き家物件を借り受け、改修したうえで6年間サブリース(一定期間転貸運営)するサービスのこと。最初は東京でスタート、現在は全国各地に展開中だ。

ちなみに東京23区の場合には築30年以上と古く、1年以上空き家になっている物件が対象。それを改修、サブリース期間に改修費用を回収する仕組みである。

「カリアゲ京急沿線」では、京急電鉄が物件オーナーから物件を借り上げ、京急電鉄の負担でリノベーションをし、入居者に貸し出すサブリース事業となっている。京急不動産がオーナーの募集、賃貸管理をするほか、空き物件のリノベーションに定評のあるルーヴィスおよび京急リブコが施工する。

開始から2年ほどでホームページに掲載されている事例は4件。能見台駅前の店舗、能見台駅前マンション、羽田の戸建、能見台の平屋となっている。スタートしたばかりで、まだ認知度が低いことが推察されるが、着実に事例は増えている。

小田急電鉄の取組み

小田急電鉄はどうか。同社は「小田急の『安心』サブリース」として、2016年10月から自然素材を使ったリノベーションで知られるハプティックと業務提携、空き家所有者に手持ち資金ゼロでリノベーションを実施できる事業を展開してきた。

人気路線の小田急

人気路線、小田急だが、多摩エリアの中には高齢化が進む地域も点在している

2018年12月には社宅一棟リノベーションを完成させた。対象となった物件は入居率が30%にまで低下していた社宅。物件所有者から小田急電鉄が借上げ、ハプティックが一般賃貸へのリノベーション工事と入居募集を行い、小田急不動産が物件を管理・運営に当たった。
工事開始と同時に募集も開始し、2週間で12室全室に申込みがあったというから、好成績である。

その他、大田区と連携して空き家・空き店舗対策に取り組んだり、東京都の「起業家による空き家活用モデル事業」のコーディネーター事業者として空き家を活用した事業プランを考える起業家を支援するなど、独自の取組みをする東急電鉄の例などもある。

さて、こうした取組みをどう考えるか。手元資金がなく、空き家を抱えたオーナーであれば上手に活用できればお得だろう。だが、空き家を安く買おうとしている人や近隣で競合物件を運営している人から見れば、そうそう嬉しい話ではない。立場によってはプラスだが、マイナスにもなりうるわけである。

とはいえ、沿線の価値向上は鉄道会社にとっては至上命題。手を打っている沿線であれば、何もしていない沿線よりは価値は維持される可能性は高い。大きく見れば、周辺住民みんなにとってプラスとなるはずだ。

その意味では今後はどこに不動産を所有するかを考える際、鉄道会社の施策にも目を向け、積極的に沿線価値を高める取り組みをしているかどうかをチェックする必要があるだろう。

ちなみに空き家対策以外では駅構内、高架下などを利用し、保育園を作る動きも各沿線で行われており、若いファミリー世帯を呼び込むための施策となっている。このあたりも各沿線の取組みを比べて見てみると面白いのではないだろうか。

(参照:手元資金ゼロでリノベーション可。鉄道会社空家対策は投資家にどう働くか。

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