ど素人から金持ち大家さんになった人々

第22回 家賃年収2,200万の金持ち大家になった元貧乏芸人の意思と努力

ウメさんのプロフィール
1975年生まれ。大学卒業後にプロの芸人になるが、副業の飲食店経営で借金を背負ったのを機に引退。その後、不動産会社でフルコミッションの営業部員として働き借金を完済する。2010年に400万円を元手に不動産投資を始め、5年で所有物件20棟40室、家賃年収2,200万円を超える規模に。現在はIT企業に勤務しながら、主に週末に不動産投資活動に励んでいる。

400万円を元手に一番効率よくお金を増やせる方法を考えた

――借金を完済して、資金ができたところで、不動産投資を始めたのですね。

ウメさん 
はい。400万円の貯金ができた時点で、このお金を一番効率よく使える方法は何かと考えて、まずは積算評価の出る戸建てを80万円と220万で現金購入しました。次に、その2戸を共同担保に入れて、合計4,400万円の3棟のアパートをローンで購入し、そこからのキャッシュフローで安い不動産を買っていくという筋道を作りました。

ただ、新設法人で買ったために決算書がなく、融資は日本政策金融公庫かノンバンクでいくしかありません。公庫は副業の事業資金を借りたことがあり、すでに上限に達していたので、結局、ノンバンクのローンを使いました。ノンバンクは金利が3.9%と高いですが、審査が早く融資の基準が明確なので、計画を立てやすいのがいいですね。

――物件の購入価格は、数百万円のものが多いそうですね。関東のわりに随分と安いように感じます。

ウメさん 
一番安い千葉県習志野市のテラスハウスは、最初390万円だったものが、売れ残って190万円に下がったところで、指値を入れて60万円で買いました。「境界が確認できないんですが、どうしましょう・・・」というので、「そのままでいいから安くして」とお願いしました。この家は今、5.5万円で貸しています。

神奈川県横須賀市では路線価で1,200万円の家を150万円で買いました。こちらはもともと1,000万円で売られていたものが580万円に下がったところで、見に行って指値を入れました。競売もやります。去年は埼玉のテラスハウスを100万円で買いました。家賃は4.5万円いただいています。

――安く買うコツがあれば教えてください。

ウメさん 
ポータルサイトはもちろん、狙ったエリアの不動産会社のホームページはくまなくチェックします。気になる物件があれば電話をしますが、不動産屋のサイトは不正確な情報も多く、たいていは売り切れ。しかし、それで終わりにせず、「またこういう物件が出てきたら教えてください」と言って、ひとつずつパイプを作ります。

指値も入れます。「担当者さんの想像でいいので、いくらくらいまで下がりそうですか?」と聞いて、見込みがあれば大幅に下の値段で交渉してもらいます。もちろん、交渉をまとめてくれた営業マンには、見返りがあるようにします。あとは、全空や超ボロなど、融資がつきにくい物件を狙いますね。ライバルが少ないほど買いやすくなりますから。

時間を効率的に使うためにテレビとお酒を辞める

――かなりの行動量のようにお見受けしますが、サラリーマンの仕事と両立するために工夫していることはありますか?

ウメさん 
時間を効率的に使うことは意識しています。例えば、テレビは日曜の特定のバラエティ番組しか観ませんし、お酒も飲みません。趣味は子供とさす将棋で、腕はアマチュア2段です。それ以外は勉強と家族のために時間を使うと決めています。

不動産にかける時間も最小限にとどめています。例えば、現金買いのときは、契約と決済を同時に行い、時間も朝イチに指定して30分くらいで終わらせます。あと、僕は空室があっても入居付けのために不動産会社を回ることはしません。金額によっては現地に行かず、グーグルストリートビューで周囲の様子を見ただけで買うこともあります。

――空室は、どのようにして埋めるのですか?

ウメさん 
電話で営業をしています。あと、入居審査に関しては細かいことをいわず、管理会社に裁量権を持たせています。保証人がいれば無職でもOKです。ちなみにリフォームはペンキを塗るくらい。「汚いままだと不動産屋さんに紹介してもらえないのでは?」と聞かれるのですが、家賃とのバランスがとれていれば、そんなことはありません。

例えば去年、150万円で買った横須賀市の戸建ては、駅から徒歩7分ですが、崖の脇の獣道のような場所を通らないと行けない場所にあります。建物もボロボロですが、OLさんが4万円で借りてくれました。借地料5,000円を支払っても利回りは30%を越えます。

自分の価値観に縛られると判断を誤ります。世の中には、雨風をしのげれば十分という人もいますし、ボロボロの家を自分で直しながら住みたいという人もいます。万が一、長期間空いたとしても、現金で買っていればたいした痛手ではありません。そこで余計なストレスをためたり、時間を奪われたりするのはもったいないと思います。

買っているのはボロ物件ではなく、将来のアパート用地

――出口戦略はどのように考えていますか?

ウメさん 
基本的には建物を壊して、アパートを新築し、売却する方針です。そのため、2階建て、3階建てのアパートが建てられる場所にしか買っていません。リフォームにお金をかけないのも、そう遠くないうちに壊してしまうからです。

去年、安く買った戸建てがあるのですが、木造ですから解体は簡単。ここにアパートを建てると、建築費が坪75万円として、3,000万円くらい。それを利回り10%で割り戻すと約5,000万円です。この価格で売却すれば、2,000万円近く利益が出ます。売らずに持ち続けた場合にも、相当なキャッシュフローが出ます。

買ってすぐに、転売することも稀にあります。例えば去年、730万円で買ったファミリータイプのマンションを1,400万で売却しました。

ちなみに、再建築できるかどうかは、不動産会社の言葉を鵜呑みにせず、自分自身でも役所に確認します。重要事項説明書が絶対に合っているとも限りません。誤解を恐れずにいえば、僕は自分しか信用していないんです。誰かを信じて失敗したら、それも自分のせい。自分の人生に起きたことの責任は、全て自分で持つべきだと思っています。

――ただ安い物件を買っているのではなく、長期的な戦略に基づいて行動しているのですね。不動産投資にはご家族も協力的なのでしょうか?

ウメさん 
そうですね。基本的に、妻は僕のやることをいつも応援してくれます。妻も最近、宅建と第二種電気工事士の資格をとり、今はインテリアコーディネートの勉強をしています。僕は戸建てを自主管理しているのですが、入居者や不動産会社からの電話の対応や、近くの物件の草とりなどを彼女に頼むこともあります。

それと、子供がペンキ塗りをやりたがるので、時々、手伝ってもらっています。「どこでも塗っていいよ」と言って白いペンキを渡したら、ボロボロの家がシャビーでいい感じになりました。養生も何もしない雑な塗り方ですが、大胆に塗ると「わざとやっているのかも」と感じさせるようないい味わいが出るんです(笑)。

目標のキャッシュフロー額に達したら、またお笑いにかかわりたい

――ステキなご家族です。ところで、奥様とご両親は和解されましたか?

ウメさん 
借金を完済して、賃貸併用の自宅を建てた後で、何年かぶりに会うことができました。随分と心配をかけてしまいましたが、経済的に安定したことと、子供たちのおかげで、今は良好な関係です。

不動産投資を始めてよかったことのひとつに、お世話になった方に恩返しをできるようになったことがあります。僕の両親と兄弟にも不動産投資をしていることを話して、小さな物件を譲ったところ、喜んでもらえました。

――それはよかったですね。今後の目標を教えてください。

ウメさん 
最終的には僕と妻の個人と、それぞれが代表になっている2つの法人で、月に100万円ずつのキャッシュフローを得ることを目指しています。年間だと4,800万円です。そのレベルになったら、夫婦で不動産会社を経営するのもいいかなと思っています。

実は、過去に一時期、任意売却や競売のことを勉強したくて、その分野に強い不動産会社を手伝ったことがあるのですが、社長が高齢になって引退したいと言うので、会社の権利を300万円で買い取り、いつでも開業できる状態にしてあるんです。宅建番号10番の古い会社なので、最初から信用がある状態でオープンできます。

あと今、子供が二人いますが、妻がもっと欲しいというので、明るい大家族を作りたいですね。そしていつかまた、大好きなお笑いの仕事に携われら嬉しいです。そのためにも、不動産投資で資産を増やし、安心して家族が暮らしていける土台を築いていければと思います。

前編:第21回 借金3,000万円を抱えた元お笑い芸人が不動産業界で学んだこと


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