不動産の資格

マンション管理士とは?

 

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マンション管理士のイメージ

管理組合側の立場に立って、管理組合が業務を円滑に行えるよう腕を振るいます

現在日本には約623万戸のマンションがあり、おおよそ1,530万人ほどが暮らしています。
最近のマンションには、駅などに近く立地条件に恵まれたものや、インターネット環境の整備や最新のごみ処理設備などを売りにしたもの、セキュリティ面を売りにするものなども多く、戸建て住宅ではなくマンションを終の棲家にえらぶ人も多いようです。
しかし、その一方で、居住者が増えることに比例して、トラブルも多くなってきました。

そのため、トラブルを未然に防ぐために、マンションにおける決まりごとを定め、そのルールにしたがってマンションを維持していく管理組合があるのですが…
実際には、管理組合の業務は一般の居住者が担当するケースも少なくなく、専門的知識を必要とする問題の解決(たとえばコンクリートが劣化してきたらどう対処すればいいのか、会計処理のやりかたはどうしたらいいのか)については対処しきれないことも多いのです。
「どうしよう!誰か詳しい人に相談したい!」そんな時に頼りになるのが、「マンション管理士」です。

一口にマンションの管理といっても、戸数や棟数、階数、建てられたのは何年ごろか、場所は都心か郊外か、単身者が多いかファミリーが多いか、などの条件によって実情は変わってきます。
マンション管理士は、このようなマンションごとの個別実情に沿って的確なアドバイスを管理組合に対して行い、相談役的な立場で活躍することの多い資格です。いわば「管理組合の頼れる顧問」といった存在ですね。

管理業務主任者とマンション管理士の違い

似た要素をもった資格に「管理業務主任者」というものがありますが、こちらはマンション管理会社側の立場に立って、管理会社による業務が円滑に行われるよう腕を振るう資格です。
一方で「マンション管理士」は、管理組合側の立場に立って、管理組合が業務を円滑に行えるよう腕を振るう資格です。そのため、現状が管理組合に不利だと判断した場合は、委託している管理会社の見直しを提案することもあります。
すなわち、より住民(管理組合)側に近い立場で業務を行うことが、マンション管理士の特徴といえます。

マンション管理士の業務

マンション管理士が活躍する場面は、大きく分けると以下の三つに分けられます。

①建物をちゃんと管理したい!

マンションは居住者の住まいであると同時に、大事な資産でもあります。適切なタイミングで修繕や新しい設備の導入などを行っておかないと、資産価値のないボロボロマンションになってしまいます。
しかし、実際に建物などを管理しようとしても、手順がわからず、業務が滞ってしまう管理組合も少なくありません。
マンション管理士はそんな管理組合に対して、全体の流れについてアドバイスをしたり、建築士と管理組合の橋渡し役となることで業務がスムーズに行えるよう手助けをすることができます。
中には建築士の資格とマンション管理士の資格の二刀流で活躍し、相談から実際の修繕の進行までまとめて請け負っているケースもあります。

②住民トラブルを解決したい!

マンションでは多くの人が隣り合って暮らしています。それゆえ様々なトラブルも生じます。通常は管理規約(マンションの決まりごとをまとめたもの)を元に解決を目指すのですが、中には想定外すぎて規約に決めていなかった事態が生じることがあります。
この場合、マンション管理士には、知識とそれまでの経験を生かして問題の解決を目指す役割が期待されます。
加えて、建物の状況の違い、住民のタイプの違い、管理規約の内容の違いなど、マンションごとにトラブルを構成する要素が多岐にわたるため、正直なところ「これが正解!」という解決策がないこともあるため、 マンション管理士には、個別の状況にも柔軟に対応できる、高い問題解決能力が求められます。

③管理組合の実務をスマートに進めたい!

一般的にマンションの管理組合の運営は住民同士が持ち回りで行うケースが多く、「どうしていいのかよくわからない」状況のまま運営が進められていることも少なくありません。
運よく法律の知識がある住民や、会計処理の仕事を生業としている住民が運営メンバーに組み込まれていれば、円滑な運営を期待することもできますが、現実には極めてまれなケースといえるでしょう。
そのため、マンション管理士は、管理組合の実務に関してアドバイスを行い、管理組合の運営メンバーに専門的な知識がなくても、円滑に組合運営が行われるようサポートを行います。
業務内容によっては専門的な知識を必要とするケースも多いため、中にはマンション管理士以外に会計士の資格などを取得し、会計に特化したコンサルティング業務を行う方などもいます。得意分野に絞ることで業務のクオリティを高めることができるというわけですね。

以上の例を見てみても、幅広い知識と柔軟な問題解決能力とに加えて、高いコンサルティング能力がなければ対処が難しい業務が多いことがわかります。

ただ一方で、これこそがマンション管理士の腕の見せ所であるともいえます。

最近では、リタイア後にマンション管理士資格を取得し、これまで職場で磨いてこられた知識や、問題解決スキル、コミュニケーションスキルなどを新しい形で生かしておられる方もいらっしゃるようです。

マンション管理士の活躍の場

現在日本では10人に1人がマンションに住んでいます。
マンション管理士試験の始まった平成13年以降もマンションは増え続け、現在もなお新しいマンションの建築が進んでいます。
また、既存のマンションの中には築30年を超えるものも出始め、建替えや改修のニーズも増えつつあります。
そのような状況の中で、マンション管理士のニーズも同時に増えてきています。

マンション管理コンサルタント

マンション管理士としての実力を十二分に生かす選択です。管理組合とタッグを組み、総合的にマンション管理のサポートを行います。新しいマンションの規約(ルール)の策定や、管理運営の方針へのアドバイス、マンションの設備の改修・修繕についてのアドバイスなどニーズの内容も多岐にわたります。
最近ではマンション居住者が高齢化していることもあり、バリアフリー化の相談を受けることもあるようです。
複数のマンションと顧問契約を結び活躍していくのが一般的なスタイルです。

マンション管理会社など

マンションの管理を委託される管理会社に必要とされるのは、原則として委託された管理業務をスムーズに進めていくことですが、管理会社の中には、ただ淡々と業務をこなすだけではなく「住民の気持ちになって」業務を進めることを目標としているところも少なくありません。その点、マンション管理士は管理組合(住民)側の立場に近い資格であるため、管理会社の中で、どうすれば住みやすいマンションになるかを多角的に検討することができるようになります。もちろん、同じくマンションに関する資格の「管理業務主任者」とダブルで取得することもできれば、より効果的に業務をすすめることができるでしょう。

宅地建物取引主任者、建築士、会計士、土地家屋調査士、行政書士などの他の資格とセットでの開業

残念ながら、日本では相談(コンサルティング)業務に報酬を払うという認識は必ずしも定着しているとはいえません。実際のマンション管理士の方の中にも、顧客の獲得に苦戦されている方もいるようです。中には成功報酬型(たとえば、管理費を削減したい→コンサルティングによって削減できた何割かを報酬として受け取る)を選択しているマンション管理士もいます。
しかし、その一方で、「マンション管理に詳しい会計士」「マンション管理に詳しい行政書士」など、他の資格とセットで業務にあたることで、適切な「コンサルティング」とその先の「手続業務」までを、通しで請け負うケースも増えています。
その他の資格とセットにすることで、「顧客の信頼を得やすくなる」「よりきめ細かな業務が行えるようになる」といったメリットもあるため、このスタイルは今後も増えていくことが予想されます。

管理組合の組合員、役員として資格を活用する

マンションについて一番詳しいのは誰か?それは実際に住んでいる住民にほかなりません。
普段生活している中で感じている「管理費についてはこうしたほうがいいと思う」「○○の施設は実際使っている人がいないので無駄なのでは?」といった感覚は、住みやすいマンションを目指すうえで重要な要素になるのです。
そのため、組合員や役員がマンション管理士の資格を取得することで、これらの意見を「ただの感想」ではなく、「一つの問題意識」として取り扱いやすくなります。
また、管理会社との交渉や、マンションの修繕を請け負う業者との交渉も、より有利に進めることができるようになります。

試験日程 (2021年度)

願書配布期間 8月2日(月)から
申込期間 9月1日(水)~9月30日(木)(最終日消印有効)
試験日 11月28日(日) 午後1時~3時
合格発表 2022年1月14日(金)
受験手数料 9,400円
※詳しくは試験機関にお問い合わせください。
※実施団体HP「マンション管理士試験」をご覧ください。

試験データ (2020年度)

受験者数 12,198名
合格者数 1,045名
合格率 8.6%
実施団体 公益財団法人 マンション管理センター
TEL:03-3222-1611(試験案内専用電話)

住宅新報からワンポイント

マンション管理士試験は四肢択一のマークシート形式で、総問題数は50問です。
合格点ラインが、35点~38点です(毎年変動します)ので、全体の75%程度正解できなければ合格することができません。合格率は、おおむね7%~9%前後で推移しています。

正直に申し上げて、これは試験の中でも難易度の高い部類に入ります。

これは、元々の試験の範囲が広いにもかかわらず、時折、実務にかかわったことがなければ把握していないような非常に深い内容まで問題に盛り込まれるケースが多いことが一つの要因です。
この背景には、新築マンションの数が増えつつあることや、既存のマンションの中にも耐震やバリアフリーのための改修が必要なものが数多くあることから、【即戦力】となるマンション管理士が必要とされていることなどがあると考えられます。

ただ、その一方で毎年重点的に出題されるような「定番の問題」もありますので、確実に得点源となる「定番の問題」をまずはしっかりと押さえたうえで、「余裕」があれば「専門性の高い問題」への対策をしていくことが学習の基本スタイルになると考えられます。

難易度★★★★  資格の有用性 ★★★★