社説「住宅新報の提言」

社説 ノンリコ的ローンに期待 困難でも怯まずに挑戦を

 国土交通省の要請で、日本でもノンリコース的な住宅ローンの開発ができないか検討していた長期優良住宅ローン推進研究協議会(会長・井村進哉中央大学教授)が報告書をまとめた。
 万一破綻しても、住宅を手離せば残債を徴求されない住宅ローンの開発は、高齢化が加速する我が国にとっては極めて重要な課題である。ノンリコ的ローンを実現させるためには資産価値が減じにくい住宅の開発が前提となるし、それは所得の減少する高齢者の経済的生活を支える大きな柱となるからである。
 協議会が住宅の資産価値を維持していく方法として提案するのが、米国に見られる「住宅・住宅地経営組織」(HOA)だ。これは住宅所有者によって構成され、コミュニティ全体が民主的な統治意識を持って、住宅と住宅地全体の維持管理を継続的に行っていく組織である。

■資産価値維持する環境

 住宅の資産価値は住宅単体の価値もさることながら、10年、20年と経過したときには単体としてよりも、その街区全体が持つ環境に左右される方が大きい。しかし、我が国ではHOAのような組織は未だ存在していない。
 今回の報告書はその重要性を改めて提唱したものであり、ぜひ実現すべき仕組みである。
 ただ、問題はどうやってそれを実現していくかである。そこで、協議会が提唱しているのが定期借地権を活用したまちづくりである。一般地主の協力が望ましいが、困難な場合は自治体などの公的土地の活用も検討すべきだ。
 HOA的組織の設立と並んで、もうひとつの重要提言が「次世代型信用保証会社」である。これは、銀行など債権者のみならず、住宅価値の維持向上機能を持つことで債務者の救援も保証する信用保証会社である。

■保証会社に新概念

 具体的には、債務者が万一デフォルトしたときには、その住宅を残債価値以上で買い取ることによって残債免除益を出すことなく残債を消滅させ、ノンリコース的ローンを実現するというもの。これも従来にない極めて斬新な提案であり、その実現に向け、関連業界が足並みを揃えなければならないときである。
 住宅の資産価値を維持することができれば、万一債務者が破たんしても住宅の所有権を手離すことで残債の徴求に苦しめられることなく再生も可能になる、また無事返済を終えたあとはそれを担保にモーゲージローンを利用することもできる。
 そのためにも、今後は融資した住宅の資産価値維持に、金融機関側も責任を持つという発想が求められる。特に、住宅が地域に根差した資産であることを考えると「地域金融機関の果たすべき役割は大きい」と報告書が指摘している。正に的確な提言であり、困難を乗り越え実現してもらいたい。