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「敷引き」慣習に変化/福岡

連載 社説「住宅新報の提言」

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 賃貸住宅の敷金精算については、国土交通省のガイドライン東京都条例(東京ルール)、各地での判例などを背景に、不動産会社の取り組み方が変わってきた。慣習の一つである「敷引き」では「消費者契約法違反で敷引き無効」とする判決も出されている。「敷金・敷引き」を主流とする福岡(一部地域)では、見直す動きが出ている。

 敷引き特約は、入居時に預けた敷金から一定額を退去時に差し引くこと。相場は「単身者用が敷金3~4カ月・敷引き2~3カ月、ファミリータイプが敷金4カ月・敷引き3カ月」(同市内の不動産会社)という。
 
 同市内の不動産会社は、「昨年、福岡地裁で、敷引きの一部は無効との判決が出されて以降、変わってきたと感じる。入居者の意識も高くなってきた」「同じ物件でも、家賃や敷金の額に変化をつけて入居者に選択してもらう方法をとっている。
 一方、「現時点では、大きな変化は感じていない。これまで続いてきた慣習だから、急激には変わらないと思う。特に入居者からの質問も特に増えてはいない」(市内の仲介会社)という意見もあった。ただ、「退去時の修繕費用については、どの額が妥当であるかという観点は求められるようになるのではないか」(同)。
 
 福岡県宅地建物取引業協会では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をベースに敷金精算を行うように会員に呼びかけている。また、敷引き特約については、敷引き額が入居者の過度な負担にならないように配慮することなども求めた。
 
 北九州市の不動産中央情報センターでは、一般的に敷引きでトラブルになっている点について次のように整理した。
(1)『敷引き』そのものを理解していなかったと主張する借主への対応
(2)『敷引き』を一応理解していたが、消費者契約法などに照らして無効性を主張する借主への対応
(3)短期間での解約であっても『敷引き』額が減額されないことへの不満
(4)貸主が退去後の修繕費用として入居者の故意・過失の部分以外の費用まで請求しようとしていること。
 
 「賃貸市場はますます厳しくなりそうだ。人口は減少傾向なのに、新築物件がどんどん建設されて供給過剰だ。入居促進の意味でも、敷金の額を下げるなど工夫をしないと難しい」と同社の担当者も厳しい環境を認めている。「今後5~10年間は、めまぐるしく環境が変わるだろう。オーナーに適切な情報を発信していくように努めていく」(同社)構えだ。

【今週の視点】
 消費者契約法と「敷引き」慣習。上記(1)~(4)を見る限り、同法を交渉材料に利用する借主、慣習を理由に当然のごとく「敷引き」を正当化する貸主。いかにも醜い口論が目に浮かびます。お金を取りたい者と取られたくない者のせめぎあいでしょうか。
 皆さんはいかがお考えでしょうか。



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