この時期、酷暑と共に深刻な気象現象といえば、台風や豪雨だろう。7月25日には山形県と秋田県で記録的な大雨が降り、約1500棟(8月1日現在)の住宅が被害を受けた。都心部などでも、7月末の豪雨や、荒天による花火大会中止など、今年も各地で豪雨が猛威を振るっている。「ゲリラ豪雨」は08年、「線状降水帯」は17年に「新語・流行語大賞」にノミネートされており、比較的近年に広がった気象用語ながら、古くから定番の季節性災害であったかのような錯覚すら覚える。
▼問題は、いかにしてそれらの被害を防ぐかだ。国土交通省の7月末の発表によると、22年の水害被害額は全国で約6100億円で、静岡県と石川県では統計開始以来最大の被害額となるなど、水害も国民の生活や経済の大きな障害だ。天候は操れない以上、建物や街の防災性向上、ソフト面の対応力向上、高リスク地域からの移転等を継続的に進めるしかあるまい。
▼国も「防災集団移転」を法制度や財政支援で後押ししているものの、十分に進んでいるとは言いがたい。ならばこれも、地域の不動産業者の活躍が期待されるところではないか。ハザードマップ等の提示に加えて、顧客の理解促進や他の選択肢の提案、低リスクな土地での魅力ある街づくり等にも注力し、草の根から人の流れを望ましい方向へ誘導するような、「まち」という不動産に対するコンサルティングに期待したい。