総合 売買仲介

~畑中学 取引実践ポイント~ 不動産ビジネス塾 売買仲介 初級編(8) 境界標の記号ない 同意作業へ「測量図の種類とその見方読み方 (2)」

 一戸建てや土地の売買において測量図の見方や読み方が分かっていれば、顧客への説明など何かと役に立つことが多い。そのため今回は測量図の見方読み方に触れてみたい。主なポイントは、(1)境界標と座標リストの有無、(2)面積と周辺長さ、(3)作成者欄――この3点である。

 まずは(1)境界標と座標リスト。隣地や前面道路との境界端に丸や四角など記号があれば境界標が入っていることを示す。凡例を見ながらコンクリート杭、石杭など境界標の種別を確認しよう。現地でもこれら種別の杭を確認できるはずだ。もし、現地に杭が見当たらないのであれば、座標リストに従って有資格者が発見できるはずだ。それでもなければ隣地所有者の再同意が必要だが、再度、座標リストと同じ場所に境界標を入れ直すことも可能となる。

 一方で境界標の記号がなければ、隣地の所有者と境界を決める必要が出てくる。その場合、境界の同意を取るための作業が必要となる。もし同意が取れなかった場合は、面積が確定しないこと、分筆ができないため土地を分割して売却することが難しくなる点に注意したい。

 (2)面積と周辺長さでは、面積と前面道路への接道長さをよく確認をしておきたい。面積は登記情報上の面積と一緒となるはずだが、入力の際に間違えていることもあるので、照らし合わせは必須だ。また、長さはメートル、面積は平方メートルの単位だが、昭和50(1975)年頃までは長さは「間」、面積は「坪」で表示されていることがあるので単位換算しよう。

 筆者は恥ずかしながらよく単位を読み間違えてしまい、「単位が違っていたか」と後で気付くことがあった。

 (3)作成者欄では、作成者名と作成日付を確認する。再度、測量図を作成したり、境界標を復元する際には、この欄記載の土地家屋調査士に依頼をしたほうが過去の測量データを基に早く、安くしてくれることが多いからだ。また、同様の理由で隣地の地積測量図を取得してそこに記載のある有資格者に連絡するのも一手だ。なお、作成日付も確認したい。作成日から時間が経過しているとその間に地震などで土地の歪みが生じて面積その他が異なっていることがある。新しいほど信頼性が高いと言える。筆者の目安は現在から数年前程度であれば信用でき、次いで平成17(2005)年以降、その次は平成5(1993)年以降(このときも不動産登記法が改正。測量の電子化が主流になった)の段階で信頼性が落ちるという理解だ。

 以上、測量図の見方と読み方を述べた。不動産を正しく把握するために参考にしてほしい。

【プロフィール】

 はたなか・おさむ=不動産コンサルタント/武蔵野不動産相談室(株) 代表取締役。

 2008年より相続や債務に絡んだ不動産コンサルタントとして活動している。全宅連のキャリアパーソン講座、神奈川宅建ビジネススクール、宅建登録実務講習の講師などを務めた。著書には約8万部のロングセラーとなった『動産の基本を学ぶ』(かんき出版)、『家を売る人買う人の手続きが分かる本』(同)、『不動産業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など7冊。テキストでは『全宅連キャリアパーソン講座テキスト』(建築資料研究社)など。