総合

大言小語 郊外活性、経営者の意識次第

 コロナで社会構造は変わったのだろうか。コロナ渦中は不要な外出をしないよう促され、オフィスも店も閑散とし、街から活気が失われていたが、昨年5月以降の社会経済活動の正常化で賑わいを取り戻した。訪日客が押し寄せて、コロナで人員整理をした観光業に働き手が戻らずにオーバーツーリズムが問題となっている。

 ▼地方創生という掛け声ばかりでなかなか思うようにコトが運ばない。一時は東京から脱出し、郊外や地方に人口が流入し、「これから地方の時代だ」との声が上がったものの、その声は急速にしぼんだ。再び東京への人口流入が加速して一極集中に向かい、コロナ禍でワンルームの入居が決まらないと騒がれていたことがウソのようだ。学生は普通授業に戻り、学生生活を謳歌(おうか)できるようになったことは喜ばしい。

 ▼企業も出社要請によりオフィスに賑わいが出始めたが、ここが欧米と違うところだ。特に米国のオフィス回帰率は半分ほどにとどまり、平均空室率が20%超えるという状態だ。商業用不動産の賃料と取引価格にも悪影響が出始めている。米国人はリモートワークで仕事ができることが証明できたのだから時間をかけて出社する必要はないと主張する。一方の日本は忠実に出社要請に応えるが、その反動で都心回帰に拍車がかかり、せっかくの郊外・地方需要を摘み取った感が拭えない。経営者の意識が地方創生を左右する。