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酒場遺産 ▶24 東京・白山 立呑処なかや 鳥の白レバーが絶品

 白山上の交差点から、紫陽花で有名な白山神社へ下る坂道の途中に、軒の低い「立呑処なかや」はある。夕刻早い時間から空いており年中無休(時々日曜は休む)。そう広くない店だが、入って左側に厨房があり、木の内装でつくられた立ち呑酒場には最大15人くらい入るだろうか。様々な日本酒やツマミを記した木札の短冊が無数に下がる。酒飲みにとっては天国のような場所だ。この近辺は住宅地のためか早い時間は客もまばら、夜でも近所の常連らしい客がパラパラと来る程度で店が一杯になることはない。こだわった酒のセレクトも素晴らしいし、小柄なワンオペ店主の腕達者で工夫の凝らされた小皿などは美味しく見た目も美しい。

 この日は散歩の途中ということで夕暮れ時にサクッと20分。茨城の酒「蔵人三代」360円と鳥の白レバー380円、計740円明朗会計だ。特に鳥の白レバーは絶品で一度食べると病みつきになる。メニューの一例を紹介したい。日本酒は蔵人三大(茨城、一番安くて旨い)、清酒多賀鶴(山形)、和気愛愛(栃木)、金陵(香川)、加茂鶴(広島)、多摩自慢(東京)、高清水(秋田)など、360~500円程度。つまみは焼き鳥の他、馬刺、豚の柳川風、刺身こんにゃく、丸蒟蒻の小鉢、板尾揚げ葱味噌、豆富のトコトコ煮一丁、烏賊大根ワタ煮、鰈煮付け、揚げ茄子、ぼんじり串焼、手羽中のピリ辛揚げ、ゴーヤチャンプルなど、いずれも300~500円程度と手ごろだ。2006年開店というからい酒場遺産と言うには新しいが、時代の流れに媚びない風格を備えている。あまり流行り過ぎずこのままでいてほしいと、この店を愛する酒飲みは勝手ながら思う。(似内志朗)