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大言小語 ウォーカブルな都市

 街づくり、都市づくりをどうすべきかの議論が関係各所で活発だ。人口減少の本格化がその根底にあるのは間違いない。空き家が増え続けることは避けられず、地域の魅力を見いだせない街は廃れていく。

 ▼そんな中で不動産証券化協会が9月26日に開催した「マスターコンベンション」は都市とDXをキーワードにさまざまな研究や取り組み事例が紹介され、参加者たちの興味をそそっていた。東京都市大学准教授の秋山祐樹氏は自治体が保有するデータ、建物の外観画像+AI(人工知能)、ドローン、政府統計を活用することで空き家の分布を把握したり、推定する技術開発を紹介。情報処理推進機構の粕谷貴司氏はスマートビル普及に向けてはビルのオープンデータ化がカギを握るが、そのスマート化によりビルの資産価値が上がるのかはまだ結論が出ていないとした。

 ▼最も印象的だったのが東京大学先端科学技術研究センター特任准教授の吉村有司氏の「バルセロナのまちづくりにみるウォーカブルの最新動向」。バルセロナは今後60%がウォーカブルな街になるといい、検証で人が歩きやすい街になるだけでなく、小売店等の売り上げが増えることも分かったという。  

 ▼都市開発について吉村准教授は、「DX推進前に、どのような都市にしたいのかというディスカッションが必要だ。これが欧米と日本の違いだ」とも述べた。国と業界にとっては耳に痛い指摘だ。