総合

街の復権

 銀座、新宿、六本木といえば東京、日本を代表する〝遊〟の街として君臨し続けてきた。グローバル化と共に来日する外国人の格好の観光スポットとしても定番だ。銀座は、隣接する「大・丸・有」地区で大規模再開発が相次ぎ完成し、地域連携による成長にますます拍車がかかる。六本木も「ヒルズ」と「ミッドタウン」という二大再開発がビジネスとエンターテインメントの色を高めながら、多層構造の成熟した街へと変貌を遂げつつある。

 ▼銀座、六本木に比べて出遅れ感のあった新宿だが、東京都と新宿区による「新宿グランドターミナル」構想に基づき、ようやくJR駅を中心とした「百年に一度の再開発」がスタートした。もう一つの新宿の顔が歌舞伎町だ。アジア系外国人が多いことでも知られるが、近年は「国際アートカルチャー都市」を標榜する豊島区の戦略に乗った池袋にその座を奪われた感は否めない。

 ▼歌舞伎町は石原都知事時代に始まった街の浄化対策や、迷惑防止条例、暴力団排除強化地域指定など2000年以降取り締まりの標的となってきた。これにコロナ感染拡大が追い打ちをかけ地盤沈下が進む。この街に新たなランドマーク、一大エンターテインメント施設「東急歌舞伎町タワー」が今週開業する。町名の由来であり、実現に至らなかった終戦直後の構想「歌舞伎演舞場」の雪辱を期すことになるか長い目で見守りたい。