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大言小語 東京と雪国の違い

 東京は雪に驚くほど弱い。今年は日本海側で災害レベルの雪が降ったが、東京は積もるか積もらないかで大騒ぎ。10センチ程度の積雪でも東京では不要不急の外出を控えるよう求めるようになる。雪国の人からすると大げさに思えるだろうが、道路や鉄道、空港といった交通インフラがまひしてしまうので仕方がない。

 ▼毎年のように東京では雪が積もると大騒ぎとなるのを見ると、インフラレベルで雪への備えをすればいいと疑問に思うかもしれない。その疑問はもっともだと思うが、年に1度か2度しか積雪がない東京で、雪国のような備えをするのは過剰であり、費用の面からも難しい。身近な例を挙げるなら、雪国であれば自動車は、冬を前に冬用タイヤに履き替えるのが当たり前だが、東京では毎年わざわざタイヤを履き替える人は少ない。

 ▼雪国との違いは、住まいにも現れている。北海道の人が東京に住むと冬に風邪を引くようになったという話は有名だ。東京の住まいは北海道と比べて断熱性能が低いため家の中が寒い。住まいの断熱性能を高くするという動機は、これまであまりなかった。

 ▼今年の冬は少し違う。光熱費が大幅に上昇し、断熱性能の高さによる経済的なメリットを実感できるからだ。25年以降、新築住宅は断熱性能をはじめとした一定の省エネ性能を満たすことが義務化される。東京の住まいが暖かくなるのも、もうすぐだ。