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大言小語 異常気象の恒常化

 先週は10年に一度クラスの大寒波が日本列島を襲った。日本付近の上空を吹く偏西風が平年より南に蛇行し、非常に大規模な冷たい空気の渦「極渦(きょくうず)」が流入しやすい状況になった。世界に異常気象をもたらす「ラニーニャ現象」が一因ではないかと見られる。

 ▼そして、日本海側ではJPCZの影響で、大雪がもたらされた。JPCZは、日本海寒帯気団収束帯と呼ばれるもので、大雪を呼ぶ。昨年12月にも起きており、この冬2回目の現象。偏西風の蛇行が今後も続けば、一冬で何回も起きかねない。

 ▼以前、小欄で見慣れない、聞き慣れない気象用語が増えた話をした。被害状況から風速を推測する「藤田スケール」、次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし、長時間、同じ場所に大量の雨をもたらす「線状降水帯」などだ。この大寒波でも前述したJPCZなどいくつかの言葉が出てきた。そして、これらの言葉が人口に膾炙(かいしゃ)していくことは、すなわち災害の恒常化を意味する。

 ▼ただでさえ、自然災害の多い日本。国民の意識も他国と比べて高いと思われるが、その上をいくのが現実の気象だ。また、資源不足によるエネルギーの価格高騰に対抗し、住宅等の省エネ化・強靱化を進める必要もある。「堅牢性」や、最近あまり聞かなくなった「断熱化」といった言葉がまた日の目を見るよう、官民こぞって進めていくべきだと思うのだが。