秋の行楽シーズン真っ只中だ。コロナ疲れ、めっきり遠出の機会が減った中で、「全国旅行支援」が12月下旬までの期間限定でスタートした。観光需要を喚起することを目的にした国の支援事業で、いわばGOTOトラベルの復刻版といったところだ。割引率40%、割引上限額は1泊当たり5000円~8000円で、これに加えて最大3000円のクーポン券もついてくる大盤振舞。テレビニュースからは、いち早くこの支援制度を使ってお得に旅行している家族の満足そうな笑顔が流れてくる。
▼旅行費用が大幅割引になるありがたい支援制度なのだが、残念なことにこの制度はGOTOトラベルと異なり、各都道府県ごとに実施、運用される仕組みになっているため、とても分かりにくく、使いづらい。おまけに開始されて早くも売り切れ、受け付け終了の自治体や旅行会社が続出。早々の即完も不評を買っている。旅行する予定があって使えない不公平さに庶民の不満が高まるのは当然だ。
▼ネット上には、全国民を対象にした事業ではない、時間と余裕のある人の旅行需要を喚起するのが狙いだなどといった意見や記事も散見される。それに異論をはさむつもりはないが、マスコミも含めて前宣伝で煽り立てて、早とちりさせるようなやり方には疑問が残る。ましてや時間もお金もある高齢者層が、この争奪戦で恩恵を受けられたのかも気になるところだ。