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UR×メルカリ×京大 〝フリマと高齢者〟で共同研究 社会との〝つながり〟検証へ

 UR都市機構(UR)は10月3日、メルカリ、京都大学と共に、フリマアプリの利用で得られる社会とのつながりが高齢者の心身の健康増進やコミュニティ形成に寄与することを検証する共同研究を開始した。同日、三者が都内で会見を開いた。

 同研究では三者が役割分担の上、今年度は60代以上のメルカリユーザーおよびUR賃貸の入居者の計1000人程度を対象に意識調査を実施する計画。オンライン取引による利用者のウェルビーイングの向上や心理的満足感を検証すると共に、リアルの場を提供するメルカリ教室をUR賃貸入居者に実施し、社会参加の効用を探るというものだ。

 京都大学大学院医学研究科社会疫学分野主任教授の近藤尚己氏は高齢者を取り巻く環境について、コロナ禍の影響が孤独・孤立の増加等に及んでいると説明。他方、物理的な接触が制限された中でも、「物の売買という目的を明確にしたフリマアプリは利用者が主体的に社会参画を可能とするツール。リアルなメルカリ教室も新たな交流を生み出すのではないか」と述べ、共同研究の狙いを説明した。

 メルカリ取締役President(会長)の小泉文明氏は、月間2000万人が利用するメルカリユーザーの中で60代以上の利用が増加している点と、その利用目的が終活や生前整理等から、趣味活動など生きがい探しに関する内容にシフトしている現状を指摘。共同研究では、「フリマアプリが、所属するという機能を代替する可能性があるという仮説を検証したい」と意気込んだ。

 また、URアセット戦略推進部新規事業担当の赤堀圭佑氏は、21年度からメルカリとUR賃貸住宅で進める実証について紹介。利用者から趣味等に関する話題が生まれやすいとのエピソードを披露し、「UR賃貸住宅のフィールドにおいてオンラインとリアルな取り組みがコミュニティや健康にどれだけ寄与するのか検証したい」と述べた。今回の共同研究では、千葉県八千代市にある高津団地の入居者100人ほどを意識調査の対象として想定している。