総合

大言小語 7歳半になる宅建士

 残暑が完全に去ったわけではないが、朝夕の風にも葉の色にも秋の気配を感じるようになってきた。といってもコロナが始まってからは季節の移り変わりよりも、感染者数の波のほうが気になり、人々に重い気分を落とし続けていることも確かだ。

 ▼秋は不動産業界にとっては資格試験シーズンとなる。幕開けは10月16日に迫った宅地建物取引士試験だ。15年の宅建業法改正で「主任者」から「宅建士」へと名称が変更され、それを機に受験者数が増大傾向となり、17年度からは20万人の大台が続いている。業界にとっては明るい材料だが、検証すべきことはほかにあるのではないか。

 ▼名称変更に伴い、宅建士の公正誠実義務、信用失墜行為の禁止、知識及び能力の維持向上への努力義務などが規定された。そのことが、宅建士になる人たちの姿勢としてどれぐらい浸透しているのかが気になるところだ。受験者数は増えたものの、改正業法施行から7年半が経過した今、宅建士に対する国民の信頼度は上がってきているのだろうか。

 ▼11月には不動産コンサルティング技能試験(13日)、賃貸不動産経営管理士試験(20日)、マンション管理士試験(27日)と続く。これほど多くの、しかも決してやさしくない試験制度を擁する業界であるにもかかわらず、未だに国民にマイナスイメージを持たれているとすれば、それはなぜなのか。〝考える秋〟である。