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国交省 水管理・国土保全局長インタビュー 岡村次郎氏に聞く 流域治水を着実に実行 ハザードマップ検討も加速

 今年6月28日に国交省水管理・国土保全局長に就任した岡村次郎氏は9月2日、専門紙の合同インタビューに応じ、流域治水の取り組みに意欲を示した。

 気候変動により激甚化・頻発化する自然災害。同局が8月末に公表した21年の水害被害額は3700億円に上り、直近10カ年では2兆円を超える年もある。就任直後から大雨災害への対応のため東北へ向かった岡村局長は、地域に寄り添いながら、1日も早い復旧復興に努める考えを示す。

 「昨年5月に流域治水関連法が公布された。行政として実行に移す番」と受け止めた上で、気候変動を踏まえた河川整備基本方針の見直しを進める。特定都市河川の指定についてロードマップを作成して取り組むと共に、そのための概算要求もしたと説明する。その際、DXや新技術の導入促進を図り、メンテナンス現場の省人化やコスト削減に努めていく考えだ。

 同局では現在、水害時の迅速な避難行動につなげるため、「分かる・伝わる」を軸にしたハザードマップのユニバーサルデザイン化の検討が進む。不動産取引の現場では20年8月から重要事項説明時に水害ハザードマップの説明が義務化されたこともあり、住まい手側の認知度も増しているようだ。ただ、あらゆる水害発生可能性を考慮し避難対象区域を拡大しすぎることや、複数パターンの地図を示すことは実用的とは言いにくい。岡村局長は「リスク情報はいかに正確に、分かりやすく表現できるか」と活用の観点を強調。「住宅・不動産業の立場では例えばどの水位までの浸水想定や発生頻度などを切り口として希望しているのか知ることが課題」と述べ、接点づくりの必要性を示す。

 カーボンニュートラルの観点では、治水と水力発電を担うハイブリッドダムの取り組みに意欲を示す。事前放流を支える気象予測精度の向上や技術開発を背景とし、「既存ダムの運用の高度化や新ダムづくりも含め、息の長い取り組みになる。地域振興にも寄与できる」と述べ、民間事業者との連携に意欲を示した。