政策

地価LOOK 22年第1四半期版 「緩やかな回復」続く 住宅地、マンション販売が堅調

 国土交通省は6月7日、22年第1四半期版(22年4月1日時点)の「地価LOOKレポート」をまとめ、公表した。それによると、主要都市の高度利用地等(全国80地区)における22年第1四半期(1月1日~4月1日)の地価動向は、75地区で不変、5地区で上方に移行した。全体としては「緩やかな回復傾向」を維持しながら、住宅地では、マンション販売が堅調で「上昇」が過半を占める格好だ。

 全体を通して、94%の地区で変動率区分が前期と同様で、変化の小さい四半期となった。なお、今回より調査地区数を100地区から80地区に削減しており、前回との比較は今回の80地区のみが対象(注参照)となる。

 内訳では、上昇が46地区(前期比1地区増)、横ばいが21地区(同2地区増)、下落が13地区(同3地区減)となった。用途別に見ると、住宅地(23地区)は、マンションの販売状況が前期に引き続き堅調であることから、上昇が22地区、横ばいが1地区となった。変動率区分が唯一、「0~3%上昇」から「3~6%上昇」へ上方に移行したのが福岡市大濠地区(住宅地)だ。同省地価調査課によると、福岡市内のマンション販売は建築費や分譲価格の上昇傾向が続く中でも好調と説明。「同市内でも有数の優良マンション供給エリアである大濠地区では、開発素地に対する旺盛な需要は続くと思われる」とし、当面の地価動向は上昇で推移すると分析した。

 商業地(57地区)は、上昇が24地区、横ばいが20地区、下落が13地区の〝まだら模様〟となった。コロナ禍の影響で下落している地区はあるが、低金利環境の継続により、変動率区分が上方に移行した地区もある。

 具体的には、「0~3%下落」から「横ばい」に移行したのが3地区(千代田区丸の内、同区有楽町・日比谷、中央区八重洲)、「横ばい」から「0~3%上昇」に移行したのは1地区(中央区銀座中央)。同課によると、オフィスが多い前者の3地区については、「空室率改善など明確なデータは読み取れないが、将来を見据えた投資需要があるため」と分析した。一方、商業地が〝まだら模様〟である理由について、「飲食店舗で下落が残る。人手が戻りきっていない」とし、東京都内の豊島区池袋東口や港区六本木、大阪市内の心斎橋、なんば地区などを例示した。

 今回、変動率区分では、「3~6%上昇」の地区が20年第3四半期ぶりに登場。同課は前回レポートに続き、「全体として緩やかながら回復傾向にある」と分析した上で、今後も経済や社会情勢の変化に注視していくとした。

【注】調査地区削減の理由

 地価LOOKレポートは、主要都市の高度利用地を対象に四半期ごとに実施し、先行的な地価動向を明らかにするもの。各地区の地価動向を9区分の変動率で評価する。

 同省地価調査課では「地価動向の先行性が弱くなった。近接している他の地区で代替可能と判断した」などを理由に、今回から品川、豊洲、鹿児島中央駅など20地区(住宅地9地区、商業地11地区)の調査を廃止し、対象を80地区とした。これにより、調査対象となる都道府県数は前回までの28から22に減少した。なお、同省によると、調査対象地区の見直しは、直近では15年に150から100地区に削減されている。