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首都圏分譲戸建てで太陽光発電網 野村不と東電EPが「バーチャルメガソーラー」 年間300戸・約1000キロワットに

 野村不動産と東京電力エナジーパートナー(東電EP)は、首都圏の分譲戸建て住宅に載せた太陽光発電システムを使った「バーチャルメガソーラー」を構築する。年間300戸(1戸当たり平均3.5キロワット)を供給することで、毎年1000キロワットのメガソーラー発電と同規模の発電量を確保する国内初の試み。今回の取り組みについて、野村不動産ホールディングスの中村篤司執行役員は「2社とお客様の3者の取り組みであることがポイントになる」とし、持続可能な取り組みとして3者にメリットがある仕組みで、休閑地が少ない首都圏で大規模な再エネ発電を実現する。

 東京都杉並区宮前で今夏に着工予定の分譲戸建て住宅「プラウドシーズン」から導入を開始。続いて「プラウドシーズン稲城南山」(東京都稲城市)の新規分譲住宅に広げ、年間400~500戸の分譲戸建て住宅のうち首都圏の300戸に、太陽光発電と電気給湯器「おひさまエコキュート」を設置する。300戸はオール電化、ガス併用住宅が混在する見通しだ。

 今年2月から開始した東電EPの「エネカリプラス」を「プラウドシーズン」購入者に適用。購入者は、太陽光発電システム導入の初期費用や10年間は月額費用を負担することなく、発電した電気の自家消費と余剰電力を売電することができる。「おひさまエコキュート」を併用することで光熱費(4LDK、4人家族)が約3割削減可能と試算している。災害発生時は、日中など太陽光発電が行われる時間帯の電気利用とエコキュートのお湯を生活用水として利用できる。

 東電EPが買い取った余剰電力は、固定価格買取制度(FIT)を通じて電力会社へ売電。東電EPは、「プラウドシーズン」オーナーが自家消費した太陽光発電の環境価値をJ―クレジット付電力として、余剰電力の環境価値はトラッキング付FIT非化石証書として、それぞれ野村不動産に供給する。これにより、野村不動産は環境価値をCO2削減などに活用することができる。

住宅・不動産に広がる

 太陽光発電の初期費用などをゼロにする東電EP「エネカリ」は、野村不動産の「プラウドシーズン横浜三ツ境」(全57区画)や「プラウドシーズン南柏サウスアベニュー」(全18戸)のほか、住友不動産の注文戸建て住宅に導入されている。また、東電EPと旭化成ホームズは集合住宅「ヘーベルメゾン」の太陽光発電由来電力を、旭化成の川崎製造所に実質再生可能エネルギー由来電力として供給するほか、三井不動産経由で旭化成と旭化成ホームズの本社に再生可能エネルギー電力として提供している。