総合

大言小語 変化する力

 今年はカレンダーの関係か、上場企業の決算発表が特定のタイミングに集中する傾向が見られたものの、主要な住宅・不動産企業の数字はほぼ出そろった。全体的な傾向は当該記事に譲るが、多数の決算説明を見聞きする中で印象に残ったのは、足元の好調とは裏腹にネガティブな予測が見え隠れしていた点だ。

 ▼現在の外部環境を見る限り、それも無理はない。事業好適地の不足と高騰、金融緩和縮小の兆し、3年目に入ったコロナ禍など、懸念材料は山積。更にウクライナ情勢や資源・食料の高騰、米中経済の暗雲、急速な円安など、国内外の状況変化も著しい。楽観的な気分にはなりにくい日々が続く。

 ▼とはいえ、変化そのものを一概に忌避するべきではないだろう。折しも、5月18日には不動産取引の全面的な電子化が解禁されたところ。いち早く対応する企業のニュースは、業界のポジティブな変化を感じさせる。もちろん事業者にはそれぞれの方針があるものの、大きな流れとしてのデジタル化を拒否できる時代でもない。

 ▼米国の著名な実業家で、ゼネラル・エレクトリック(GE)社のCEOを務めたジャック・ウェルチ氏は、「変化する能力そのものが一つの競争優位性である」と言ったそうだ。市場や法律、ニーズが大きく変化する中、事業の維持・拡大を図る上で今後最も重視されるのは、しなやかに変化を続ける対応力なのかもしれない。