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彼方の空 住宅評論家 本多信博 ◇47 仲介イノベーション 媒介報酬は売主負担で 買い手には調査・診断費用を

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新築市場は価格上昇が今後も続きそうだ。マイホームを〝高嶺の花〟にしないためにも、中古住宅市場の改革が求められている

 不動産経済研究所が発表した21年度の首都圏新築マンションの1戸当たり平均価格は6360万円となり、バブル期の90年度(6214万円)を超えて過去最高となった。

 厚生労働省の調査(19年)によると、国民全世帯の平均世帯年収は552万円だが、東京都は808万円。世帯年収が1000万円を超えるパワーカップルなら1億円以上の物件を購入することも可能だろう。

 しかし、賃金の横ばい状態が続く一般国民にとってマイホームの価格が上昇し続けることは、大きな夢が遠のいていくことを意味している。唯一、望みをつなぐのが中古住宅市場だ。ただ、中古市場は物件が限られる新築市場と違い、選択肢が何倍にも広がるうえに、築年を重ねるほどハード面の不安要因が増すなど購入判断が難しい。

信頼の確保

 もっとスマートに、もっとスピーディーに膨大な市場の中から自分に相応しい物件を見つけることはできないものか。そうしたニーズが湧き出てきても不思議はない。ユーザーが信頼できる営業担当者(エージェント)を見つけるためのマッチングサイトが登場し始めたのはその一つの表れだろう。

 問題は「どうすれば担当者を信頼できる」かである。それには、現行の仲介システムを再構築する必要がある。

 現在は1社が仲介する単独仲介、もしくは2社以上が参加する共同仲介が一般的だが、いずれも営業担当者は「成約を優先目標」にせざるを得ない。

 この場合、営業担当者と売り手の希望(なるべく早く、高く売りたい)は利害が一致するが、買い手の希望(時間は掛かっても安心できる物件を安く買いたい)とは一致し難い。媒介報酬は成約価格に連動するからである。買い手担当者が売り手側と価格交渉をすることはあるが、それも成約が重要な目標だからである。

 したがって媒介報酬は米国のように売主側が負担するシステムにしたうえで、買主はインスペクション(建物調査)や取引内容全般に対するセカンドオピニオン(診断)を求めるようにしたらどうだろうか。媒介報酬を免れる代わりに調査・診断業務の費用を負担する仕組みとする。

プロの仕事

 インスペクションもセカンドオピニオンもプロが行う純粋な〝診断〟業務ゆえに国民の信頼を得ることができる。

 インスペクションは中古住宅を安心して購入するための制度として18年4月に宅地建物取引業法に位置付けられた。しかし、未だにその利用実績は少ない。不動産流通経営協会が20年夏に実施した調査によれば、売主が自ら行ったケースが13.3%、買主が売主に依頼して行ったケースはわずか4.7%だった。

 これには法律の組み立てと業界慣習とのズレが関係している。つまり、宅建業法ではインスペクションについて、媒介契約締結時、重要事項説明時、売買契約締結時の各段階で宅地建物取引業者があっせんの可否、インスペクション結果の説明、両当事者へ診断内容の確認を行うことになった。しかし、買主との媒介契約は購入物件決定後が通常であり、重説と売買契約は同時に行われることが多いため、買主がインスペクションのことを知り、実施を希望したとしても実施できるタイミングはほぼ失われているのが実態である。

 インスペクションは売主が事前に実施しておけば売りやすくなるという説もあるが、そうした手間を掛け、まして欠陥が見つかれば補修までする売主は少ない。どう考えてもインスペクションは買い手側が自らの負担で実施するようにしてこそ普及する可能性がある。

 我が国では、買主は自ら調査しなくても万一の時は業者の責任を追及すればいいし、大手ならその心配もないという安易さがある。売主には「告知書」の提出など一定の責任を求めているのだから、買主にも〝買主責任〟を問うようにしてこそ、流通市場が引き締まり、活性化につながっていくと思われる。

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