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創刊75年記念特別インタビュー 暮らし方や住まい方に新たな価値観 斉藤鉄夫国土交通大臣に聞く

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斉藤鉄夫(さいとう・てつお)氏1976年東工大院修了、清水建設入社。工学博士、技術士。93年衆議院議員初当選、2008年環境大臣、18年公明党幹事長、21年から現職、衆院当選10回、島根県出身。70歳。
 昭和23(1948)年4月、第2次世界大戦後間もない混乱と住宅不足が社会問題となる中で、いち早く住宅・不動産のジャーナリズムを標榜した「住宅新報」を創刊した。これまで75年にわたって住宅・不動産に関する企業や官公庁のニュースや企画、市場分析などを取り上げてきた。これを記念して、斉藤鉄夫国土交通大臣がインタビューに応じた。

 ――自然災害に強い安全・安心なまちづくりに向けた大臣のお考えを。

 「近年、気候変動に伴い水災害が激甚化・頻発化しており、毎年のように深刻な被害が発生している。

 国土交通省では、災害により犠牲となる方を少しでも減らすため、堤防などのハード整備だけでなく、まちづくりなど流域のあらゆる関係者が協働する流域治水プロジェクトを進めているところ。具体的には、まず、こうした防災の観点を取り入れたまちづくりを加速化させるため、市町村がコンパクトなまちづくりを進めるための立地適正化計画の中で、居住地の防災・減災対策を定める『防災指針』の作成を推進している。

 また、水害などの危険性の高い災害ハザードエリアにおける新たな開発の抑制や、危険なエリアからの移転を促進できるよう、昨年度に法改正を行ったところだ。加えて、地方公共団体内における移転事業に対する予算措置を拡充しているほか、自然災害に強いまちづくりなどに対してもソフト支援を行っている。

 昨年7月に熱海市で発生した土石流災害の悲劇を二度と繰り返さないよう本国会において法案を提出し、危険な盛土等を全国一律の基準で規制すると共に、都道府県等が行う安全性調査や対策への財政支援を行い、盛土に伴う災害を防止することとしている。

 こうした総合的な対策を講じていくことにより、安全に安心して暮らせるまちづくりを進めていく。」

 ――老朽化した住宅ストックへの対応は、どのように進めていくのでしょうか?

 「平成30(18)年に実施された総務省の『住宅・土地統計調査』によると、人が居住している住宅ストックのうち、耐震性が不十分なものは約700万戸あり、建て替えなどによるストックの更新が必須だ。

 また、省エネルギー性能やバリアフリー性能が不十分な住宅ストックも多数存在し、リフォーム等による性能向上も求められている。

 今後、世帯数の減少などが見込まれる中、社会全体として住宅関連の投資余力が旺盛な間に、建て替え・リフォーム等を通じて、将来世代に承継できる良質な住宅ストックの形成を進めておく必要があると考えている。

 このため、耐震性や省エネルギー性能、バリアフリー性能等を向上させるリフォームや建て替えの支援を通じて、住宅ストック全体の〝質〟の向上に努めており、長期優良住宅の普及促進や住宅ローン減税等による環境性能等の優れた住宅への誘導、既存住宅の情報へのアクセスの改善等による既存住宅の取引環境の整備等に取り組んでいる。

 また、今後増加が見込まれる空き家については、その状況に応じて、適切な管理・除却・利活用を総合的に推進していくことが重要であり、引き続き、地方公共団体等とも連携し、周辺の居住環境に悪影響を及ぼす空き家の除却や、立地・管理状況の良好な空き家の多様な利活用を推進していく。

 今後とも、空き家の利活用も含め、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、将来世代に継承できる良質な住宅ストックの形成を推進していく。」

 ――新型コロナが住宅・不動産政策に与えた最も大きな変化は何と考えますか?

 「我が国は、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、〝新たな日常〟に対応した生活様式や働き方への転換を迫られた。

 このような中、例えばテレワークの普及により、自宅や遠隔地での勤務が可能となり、勤務先との距離にとらわれない住まいの選択や、二地域居住・地方移住の可能性が広がるなど、暮らし方や生き方そのものに新たな価値観をもたらしたと考えている。

 特に、二地域居住・地方移住の推進は、国民の多様な居住ニーズに応えると共に、広く地方創生に資する大きな契機となると考えている。国土交通省では、住宅金融支援機構が実施しているフラット35のセカンドハウス取得への適用、空き家対策総合支援事業による空き家活用への支援、全国版空き家・空き地バンクによる情報発信の促進、二地域居住に係る市町村の『取組事例集』の作成・提供などに取り組んでいる。

 また、新型コロナの影響で休業に伴う収入減などから住居を失うおそれのある方が増加している。住まいは生活の基盤であることから、現在、様々なニーズに応じた住まいの確保を支援しているところだ。

 具体的には、厚生労働省の住居確保給付金制度による支援のほか、国土交通省としても公営住宅等の供給や住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援、福祉施策と一体となった居住支援等に取り組んでいる。

 引き続き、関係省庁や地方公共団体等と連携し、社会環境の大きな変化や人々の価値観の多様化に対応しつつ、誰もが安心して暮らせる豊かな住生活の実現に取り組んでいく。」

不動産業の役割に期待

 ――新たな動きが始まることを踏まえた不動産業界などへの期待は?

 「不動産分野は、他業種との連携や新たなビジネスの創出など、DXの効果が大きく期待される分野だ。コロナ禍で非対面・非接触での取引ニーズが増加したことも踏まえて、政府全体でも、社会全体のDXに向けた環境の整備を進めている。

 国土交通省では、コロナ禍となる前から、不動産取引のデジタル化への対応に取り組んでいる。まずは、重要事項説明について、賃貸取引においては、平成29(17)年10月より、売買取引においても昨(21)年3月より、オンラインでの実施を可能とした。加えて、本年5月までに重要事項説明書等の書面の電磁的方法による提供が可能となる。現在、その具体的な方法を定める政省令やガイドライン等の策定を進めているところ。

 更に、不動産関連情報の連携・蓄積・活用を促進すると共に、不動産DXを推進する上での情報基盤整備の一翼を担うことを目的として、不動産を一意に特定することができる、各不動産の共通コードとしての「不動産ID」に係るルールを本年3月に整備した。幅広く制度の周知に努めると共に、今後、不動産IDを活用した取り組みが進められていくよう環境整備に取り組んでいく。

 また、賃貸住宅をめぐっては、少子高齢化や単身世帯の増加等の社会経済情勢の変化に伴い、国民の生活基盤としての役割の重要性が増している。一方、管理業務でのオーナーや入居者とのトラブルが多発するなど、管理のあり方が問われることとなり、このことを背景として、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に基づく賃貸住宅管理業者の登録制度が昨年6月に施行された。

 これにより、200戸以上管理する場合における登録の義務化や重要事項説明を義務付けるなどの措置がなされ、本年6月の期限に向け、現在4500社を超える登録をいただいている。賃貸住宅管理業者の皆様には、国民生活の基盤を支えるために不可欠な産業として、これまで以上に重要な役割を担っていただくことを期待している。

 国土交通省としても、不動産分野のDXの環境整備や不動産管理業の適正化をはじめ、業界の皆様と連携し、不動産業の発展に取り組む。」

 ――今後の住宅・不動産政策の最大のテーマは?

 「今後、世帯数の減少が見込まれる中、将来世代に継承できる良質な住宅ストックが形成され、これらの良質なストックが循環するシステムの構築など、既存住宅中心の施策体系への転換を進めることが、住宅・不動産政策の最大のテーマの一つであると認識している。

 このため、昨年3月に閣議決定された、令和3年度から令和12年度を計画年度とする新しい住生活基本計画においても「住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成」を、令和の新たな時代における住宅政策の8つの目標の一つとして掲げている。この目標の達成に向け、更新・改修等を通じた住宅ストックの質の向上、質の高い住宅が円滑に流通するための環境の整備などを通じ、耐震性や省エネ性などの性能が確保された良質な住宅ストックが世代を越えて継承される市場環境の整備に取り組んでいく。

 特に、直近の動きとしては、住宅ストックの質の向上という観点も含め、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ基準への適合義務化や更なる省エネ性能の向上、建築物における木材利用・既存ストックの長寿命化の促進等に取り組んでいるところだ。

 引き続き、世界的課題となっている気候変動問題や社会経済情勢の変化にも対応しつつ、人々の価値観の多様化に対応した豊かな住生活の実現に向けて、関係業界の皆様の御協力をいただきながら、各施策を進めていく。」

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