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大言小語 春風駘蕩

 メディアもネットもウクライナのニュースばかり。見過ぎると心が病んでしまうので、スポーツに目を転じるとひいきチームは最悪の出だし。春なのに。

 ▼この春、18歳・19歳がこれまでの未成年から成年となり、未成年者取消権が使えなくなった。「スマートフォンやSNS、キャッシュレスに対応できている今の若い世代なら大丈夫だ」という識者もいるが、それと様々な契約を一人で結べる能力は違う。

 ▼我々はネット上で何かに入会したり、契約した場合、規約やプライバシーポリシーなどが表示されるが、果たしてきちんと見ているだろうか。ろくに読まないで「承認します」といったボタンを押していないだろうか。若者は見ると思うだろうか。それと同じだ。アパートの賃貸借契約を結ぶ、保険に加入する、壊れた箇所を修繕する、そうした際の契約書を18歳、19歳がきちんと見るか。これは、相手方である事業者側がしっかり確認しなければならない。

 ▼「相手は成年、大人ですよ。そんな必要ないでしょ」。法律設計を変えたのだから、そう主張するのももっとも。しかし、それによって起きるトラブルの残像は、ずっと若者に残る。それは、事業者側にとってもいいことではない。ただでさえ、数が少なくなっている若者世代。先輩の大人が甘やかすのではなく、しっかりと守ってあげる必要がある。春風駘蕩たる大人(たいじん)として。