マンション・開発・経営

プロパティA、DXYZ トップに聞く 〝つながり広がる〟顔認証が好評

 プロパティエージェント(東京都新宿区、中西聖社長)の子会社のDXYZ(同、木村晋太郎社長)が、独自開発の顔認証システム「FreeiD」とそのプラットフォーム(PF)技術の拡大を進めている。2月には三菱地所の顔認証サービス連携基盤「Machi Pass FACE」へ技術を提供、実証実験を開始。また3月には同システムが、日本発明振興協会と日刊工業新聞社が主催する第47回「発明大賞」の考案功労賞を受賞するなど、幅広く注目を集めている。中西社長が「つながりが広がる」技術と話す同PF技術とその拡大戦略について、両社長に話を聞いた。

 「FreeiD」はスマートフォン等のアプリからの登録により、対応施設内の顔認証設備を一括で利用できるPFシステム。一般的には施設単位の登録が必要な顔認証を、一度の登録で利用できる汎用性が強みだ。

 マンションで導入した場合、共用部のエントランスや宅配ボックスに加え、専有部である住戸玄関の鍵の解錠が可能。非接触による感染症対策をはじめ、紛失や盗難といったリスクのないことが強み。更に来訪者に付与できる「ワンタイムパス」機能もあり、安全性・利便性の高さが評価されている。

 プロパティエージェントの開発する新築マンションで導入し、入居者にアンケートを行ったところ、「ほとんどの人が従来の鍵と比べ『便利なシステムだ』と答えている」と木村社長は手応えを語る。

真価は施設間の連携

 物件の利便性向上で実績を上げている同システムだが、真価は〝プラットフォーム〟として複数の施設を連携させられる点にある。通常の顔認証システムの場合、導入施設ごとに登録を行う必要があるが、同システムの場合は一度登録すれば連携する各施設で顔認証機能を利用可能。例えば、居住するマンションと勤務先のオフィス、休日に訪れる娯楽施設を共通の顔認証で利用するといった形だ。

 中西社長はこの特徴を「〝つながりが広がる〟システム」と表現する。これまでマンションのほか、オフィスやアミューズメント施設、ゴルフ場、保育園、工事現場などで導入されている。

 三菱地所の「Machi Pass FACE」へのPF技術提供も、そうした連携と拡張性を見込まれてのことだ。同社は、住まいや各種施設がオン・オフラインを問わず連携する街づくり構想を掲げており、その実現を技術面で支えるパートナーとしてDXYZとの協業に至ったという。更に将来的には、「FreeiD」と「Machi Pass FACE」との連携も検討。それぞれの導入施設・エリアで相互集客を図り、利用者のメリット拡大と導入物件オーナーの利益につなげていくビジョンを描く。

マンションの導入に注力

 特にマンションにおいては、利用頻度の面からこうした連携機能の恩恵を受けやすい。中西社長は「入居者の利便性や満足度の上昇により、物件の付加価値向上に貢献するシステム。賃貸物件ならば賃料上昇による利回り向上が見込めるため、投資家への販売価格にも上乗せが期待でき、ディベロッパーとしてもプラスになるはず」と述べる。自社開発物件のほか、ディベロッパー各社への導入提案についても力を入れていく。

 更に木村社長は「マンションとその先がつながるシステムで、連携先を広げるほど優位性が高まっていく」と述べ、今後も交通機関や小売店など、幅広い施設への導入を目指す方針を示している。