マンション・開発・経営

東急が初の学生賃貸ブランド 東京・駒場東大前に初物件 栃木県学生寮と一体開発

 東急は、同社として初となる学生向け賃貸住宅ブランド「スタイリオネスト」を立ち上げ、3月19日に第1号物件「スタイリオネスト駒場東大前」(東京都目黒区)の入居が開始される。栃木県育英会が所有する「栃木県東京学生寮」と併設する形態の施設で、ソフト・ハードの両面から学生のサポートを図っている。

 東急は19年、栃木県育英会が所有・運営していた旧学生寮の建て替え事業に企画提案を行い、連携事業者として選定された。同社による県人寮の整備事業としても初の事例。栃木県の所有する土地に、同社が1棟の建築物を建設、所有する。建物を屋内で仕切って2施設併設とし、学生寮部分(全120戸)を同会に賃貸すると共に、「スタイリオネスト」部分(全85戸)は伊藤忠アーバンコミュニティに運営管理を委託するという事業だ。

 同物件の立地は京王井の頭線駒場東大前駅から徒歩8分、東急田園都市線池尻大橋駅から徒歩9分。敷地面積は約2046m2、建物は鉄筋コンクリート造・6階建て。間取りはすべて1Rで、「スタイリオネスト」部分の住戸専有面積は約14~16m2。月額賃料は7万6000~8万7000円。

 学生向け賃貸マンションとして、生活を支える共用部やサービスには力を入れた。ランドリールームは男女別の計2カ所を設け、混雑状況をスマートフォンで確認できるシステムを導入。学習室と共用キッチンも設け、勉学や入居者間のコミュニケーション促進を後押しする。また学生寮部分の食堂の厨房を活用し、希望者には食事提供も行う。

NPOが入居学生支援

 更に入居学生をサポートするサービスとして、学生寮の運営・コンサルを手掛けるNPO法人NEWVERY(東京都品川区、小崎文恵理事長)と協力し、「ネストメンター制度」を導入。生活や進路などの悩み相談を受け付けるほか、入居学生と共にイベントやワークショップなどを企画・開催し、「自ら学ぶ環境を構築」(小崎理事長)していく予定だ。

 3月8日に開かれた内覧会で、同社賃貸事業推進担当の鈴木雄人主事は「申し込みベースでは既に満室。入居希望者はやはり東京大学の学生・受験者が中心で、申し込みの6割程度を占める。そのほか、近隣の私大や専門学校の学生などもターゲットとしている」と状況を述べた。

 また鈴木主事は「スタイリオネスト」シリーズについて、「これまでにも、学生向け賃貸を手掛けたこと自体はあるものの、東急の沿線には大学が多いにもかかわらず、本格的に取り組めていなかった。そこで沿線活性化の視点からも、本物件を機に学生向け賃貸に力を入れていきたい」という狙いで立ち上げたと語った。

 現時点では2物件目以降の事業予定はないものの、今後も状況を見ながら拡大していく方針だ。