売買仲介

空き家相談士協・全コ協 不動産政策で集中研修 国交省担当課長が講演

 全国空き家相談士協会(林直清会長)は2月18日、全国不動産コンサルティング協会(井上誠二会長)と合同で最新不動産行政に関するセミナーを開催した。第1部では国交省住宅局の岩下泰善住宅総合整備課長が空き家対策の推進状況について、第2部では同省不動産・建設経済局の井崎信也不動産業課長が最近の不動産施策について語った。

 岩下課長は空き家対策に関する22年度予算について、市町村による空き家の活用、除却を推進する「空き家対策総合支援事業」の費用を前年と同額の45億円としていることを報告。「壊すべきものは除却し、利用可能なものは活用する」という考え方で引き続き地域(各自治体)の取り組みを支援していく方針であると語った。除却の補助率は地方公共団体が実施する場合で国が5分の2、自治体が5分の3としている。

 また、税制関連では空き家法に基づく勧告をした「特定空き家」の敷地を住宅用地特例の対象から除外する措置について、「厳しい北風的対策がいいのか、逆に早く除却した場合に特例を延長するなどの南風的対策がいいのか自治体の中にも様々な議論がある」と語り、空き家対策の難しさについても言及した。

 井崎課長は(1)不動産取引のオンライン化、(2)人の死の告知に関するガイドライン、(3)不動産IDの検討、(4)賃貸住宅管理業者の登録など主要6項目について語った。不動産取引のオンライン化は、これまでは重要事項説明書、売買契約書、媒介契約書の3大書面の交付が必須だったが、昨年5月に成立した宅建業法の書面規定改正が今年5月18日までに施行されると、いよいよ書面電子化が解禁される。

 井崎課長は電子化を実施するに当たっての順守・留意すべき事項を整理している検証検討会が2月14日に開かれ、事務局が提示した項目に沿って解説した。例えば、相手から承諾を得ること、交付する電子書面が紙への出力可能であること、電子書面が説明時点などで改変されていないことを確認する。そのために電子署名やタイムスタンプを利用することを推奨するなどだ。

 オンライン化に関連して専任宅地建物取引士のテレワークについても国交省の見解を語った。同省は昨年7月に宅建士の専任性について宅建業法上の解釈を次のように改正した。「ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、宅地建物取引業者の事務所以外において通常の勤務時間を勤務する場合を含む」と。しかし、井崎課長は「現実にテレワークで専任が可能なのか、現場の方の声を聴きながら改めて調査していく」とも語った。