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インタビュー AI技術    LIFULL取締役執行役員・LIFULL HOME´S事業本部プロダクトマネジメント室長兼AI戦略室長 山田貴士氏     3Dで〝体感〟できる

 平面図では分かりづらかった姿を、3D(3次元)図面から想像すれば、新たな暮らしを描きやすくなる――。AI(人工知能)技術を生かした不動産テック『LIFULL HOME・S 3D間取り』がその願いを叶えてくれる。21年10月に不動産・住宅情報サイト内で正式に実装を始めた同機能の特徴などを、LIFULL(東京都千代田区)取締役執行役員の山田貴士氏に聞いた。 (聞き手=坂元浩二)

 ――暮らしを描く。

 「不動産・住宅情報サイトの提供当初から〝情報の非対称性〟を解消して、居ながらにして簡便に、暮らしを考える機会や環境を整えたいと考えてきた。生活の大事な要素となる住まい探しで、納得感を高めてほしいと願っている。その思いは、オンライン化などの最新技術で叶えられる」

 ――最新技術で形に。

 「従来の平面図や写真だけでは感じにくかった奥行きや家具の配置イメージでも、立体的な間取り図で見ると、受ける印象や感覚が大きく変わる。〝仮想内見〟を実現し、新生活に想像を膨らませやすい。そこで不動産会社から提供される平面の間取り図を、当社のAI技術で瞬時に3D化する特許技術を開発した」

 ――瞬時に3D化する。

 「実際に現地を歩いているかのように、3D空間内で新しい住まいを具体的に比較検討して〝体感〟ができる。効率よく候補物件を事前に絞り込んで、実際の内見に臨める。現状で200万の物件掲載情報にこの機能を実装している。エンドユーザーからは〝暮らしを想像しやすい〟と喜ばれている」

 ――200万件に。

 「掲載する不動産会社側からも、現地の写真撮影の手間が軽減された、などの声が届く。提供される2次元の平面図の精緻性や技術上の課題も残り、すべてではないものの、現在はサイト全体の6割で実装している。皆さんに、よりリアルな体験をしてもらいたい」

 ――手間を軽減する。

 「3D空間には現況写真などの情報も組み込める。従来の平面図と写真の組み合わせの方法に加えて、3D画像の発展させた形でも、不動産会社は訴求できる。正確な平面図の実際の寸法に基づき、3D空間に家具を配置する〝バーチャルステージング〟の機能拡充も構想していきたい。従来なかったAIによる〝3D間取り〟は、これからの住まい探しのスタイルの試金石になる可能性がある」

 ――機能の拡充も。

 「物件検索段階で3D空間を体験してもらえればその納得感から、高い確度のユーザーの来店につながると思う。今後も様々なデータと連携し、可能性の広がりを模索していく。最新デジタルツールの活用で、人にしかできない業務に注力して顧客満足を一層高める〝新しい価値〟を生み出してもらえればと思う」