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大和ハウスなど3社 空中インターホンの実証実験 マンション共用部を総非接触化へ

 大和ハウス工業、パナソニック、空中ディスプレイ事業を展開しているアスカネット(広島市安佐南区)の3社は1月15日から、川崎市高津区にある分譲マンションのモデルルームのエントランスに、非接触でボタン操作ができる「空中タッチインターホン」を設置し、共同実証実験を開始した。実証実験期間は6カ月程度。集合住宅での空中タッチディスプレイを活用した実験は業界では初の試み。コロナ下での衛生意識の高まりに呼応した取り組みで、実用化を検証し、分譲マンション共用部の総非接触化を目指す。

 今回の実験では、アスカネットが開発した空中ディスプレイ技術とパナソニック製の集合住宅用インターホンを連携させ、大和ハウス工業とパナソニックが開発した非接触で入居者の呼び出しができる技術を活用した。

 操作はエントランスで空中に浮かんでいるように見えるボタンにタッチ。暗証番号入力による自動ドアの開錠、部屋番号の入力による呼び出しができる。直接接触ではないため、指紋等で汚れることがない。濡れた手や汚れた手でも操作でき、消毒作業の省力化が図れる。

 アスカネットが開発した空中ディスプレイは、光の反射を利用して空中に映像を表示する最先端の技術。隣や後ろから画面が見えづらく、セキュリティ性が高い。

 モデルルームの来場者の意見を調査し、空中タッチインターホンの実用化に向け、画面の見やすさ、明るさ、操作の反応性、コロナ下での安心感、耐久性評価などを検証する。実用化ではマンションに加え、店舗やオフィスなど大型施設への展開も想定する。

来訪者を想定

 コロナ下では衛生意識の高まりに加え、電子商取引の利用拡大による宅配業者の来訪機会も増加している。大和ハウス工業は分譲マンションの新型コロナ対策として、専有部では抗ウイルスや抗菌剤を施した床材や建具などの採用。共用部では非接触キーやハンズフリーエレベーターの導入といった非接触化を進めている。

 1月13日のメディア向けの発表会で、同社マンション事業本部商品企画統括部の瀬口和彦次長は「入居者は鍵を持っているため、非接触で部屋までたどりつけるが、来訪者は必ずインターホンで部屋を呼ぶ必要があった。今回を機に分譲マンションの共用部の総非接触化を実現したい」と抱負を述べた。