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阪急阪神不 5Gで新ワークプレイス JR東日本、KDDIと共同実験

 阪急阪神不動産は1月24日、東日本旅客鉄道(JR東日本)およびKDDIと共同で、ローカル5G等の通信を活用した「空間自在ワークプレイス」の実証実験を開始する。阪急阪神不が21年12月に着手を発表した、多様化するワークスタイル支援のため、沿線ビル内にローカル5G等の通信手段を効率的に導入する試みの一環。

 阪急阪神ホールディングスグループでは、デジタル技術の活用による既存事業の収益力強化や新たな収益事業の創出を目指しており、〝通信手段の効率的活用〟に関する試みもその取り組みの一つ。阪急・阪神鉄道の沿線ビルにおいて、ワークスタイル多様化の支援という視点から通信インフラ環境を最適化。沿線価値の向上と共にアフターコロナも見据えた新たな商品・サービスの提供を狙う。

 具体的には、従来のWi-Fiや有線LAN、携帯キャリア通信だけでなく、ローカル5GやsXGP(PHS周波数帯を利用した通信規格)、LPWA(低消費電力長距離通信)なども加えて最適な通信手段の導入を検討。また、複数の通信がビル内の無線アンテナや情報通信線などを共用する「インフラシェアリング」の導入も想定し、通信インフラの効率的・低コストな整備を図る。更に、阪急阪神グループの鉄道線路沿いに敷設する光ケーブルも活用して沿線の各ビルをつなぎ、次世代高速通信サービスの広域的な提供も目指す。

遠隔地と環境を共有

 今回の実証実験は、JR東日本とKDDIが運営する「空間自在コンソーシアム」に阪急阪神不が加盟し、同コンソーシアムが事業化を進めている「空間自在ワークプレイス」として行う。これは、分散した拠点同士を高画質・大画面によるリアルタイム映像でつなぎ、同じ空間を共有しているかのようなワークプレイス環境を構築するという技術・設備。「リアルとオンラインのよさを融合」(阪急阪神不)し、コミュニケーション不足など、リモートワークの普及に伴って顕在化したチームワークの課題の解決を目指している。

 同ワークプレイスのコンセプトの下、大阪の「梅田阪急ビルオフィスタワー」と、東京の「Tokyo Yard Building」「虎ノ門ツインビルディング」の各実験フロアを複数の通信手段でつなぎ、4K映像の通信における性能を比較検証。利用者のニーズや同ワークプレイスの評価を把握することで、新たなリモートワークの提案にもつなげていく考えだ。

 同実証実験は2月25日まで実施する予定。このほかにも、同社は今後、ローカル5Gの通信でモバイル端末等を社内イントラネットに接続する実証実験も計画している。