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野村不 中村専務ら住宅事業語る 「ニーズ多様化への対応に注力」 脱炭素の新たな取り組みも

 野村不動産は11月9日、報道関係者向けの「住宅事業スモールミーティング」を開き、同社事業の現状や市場動向の分析、今後の取り組み方針などについて説明を行った。登壇したのは、住宅事業本部長の中村治彦取締役専務執行役員と、同副本部長の吉村哲己常務執行役員。

 中村専務は初めに、首都圏の分譲マンション市場動向について概要を説明。「コロナ禍でのテレワーク浸透による広さ・間数ニーズ上昇が追い風」と語り、低金利や共働き世帯の増加による世帯年収増と併せて、好況な市場を支えているとの見解を示した。

 更に、同社の独自調査による顧客ニーズについても紹介。新型コロナ関連の要素が引き続き顧客の購入意向や広さへのニーズを下支えしているほか、コロナ前後でのオーダーメイド要望の変化にも触れ、「いずれを見ても、『家時間』を快適にする志向が強い」とその傾向を語った。

 今後の住宅市場については、特に「コロナによる住宅ニーズ」と「価格上昇の継続」の2点を重視。「コロナ禍による住宅への関心の高まりやニーズの変化への対応を重視すると共に、それが今後も継続するのか注視しながら商品展開を行っていく」と慎重な姿勢を見せる。また、価格高騰については「顧客マインドや売れ行きの低下要因になる」として懸念を示した。

デジタル化や脱炭素図る

 続いて吉村常務が、同社の注力する取り組みについての紹介を行った。

 営業分野では、今年度開始した「プラウドオンラインサロン」の実績や、複数物件の販売拠点を集約する取り組みを説明。拠点集約については「物件ごとにモデルルーム用地を探す必要がなく、人員も集約できる」とメリットを強調し、都内の現行拠点に加え、神奈川方面での販売活動のため武蔵小杉にも施設を開設する計画を明らかにした。

 商品展開については、中村専務が語ったコロナ下でのニーズ傾向を踏まえ、「テレワーク」「衛生・除菌」「家事省力化」「リフレッシュ・ウェルネス」の4テーマに沿った企画を推進する。

 そして大きな方向性として重視するのが、分譲マンション事業における〝カーボンニュートラル〟の実現だ。吉村常務は具体例として、同社が同日に公表した「(仮称)相模大野4丁目計画」の詳細について語った。

 同計画は旧伊勢丹相模原店の跡地に、電気・ガス併用では国内で初めて(同社調べ)となるCO2排出量実質ゼロの新築分譲マンションを建築するもの。吉村常務は「同様のアプローチを実践するには一定のハードルがあるものの、今回の知見を生かして今後も継続的に(分譲マンションの脱炭素化に)取り組んでいきたい」と方針を述べた。

 また、脱炭素化仕様に伴う事業コストや販売価格の上昇に対し、中村専務は「顧客がどの程度賛同し、許容するかは我々も注視しているところ。しかし脱炭素の取り組み自体は時流として不可欠な要素であり、今後も継続していく」と意欲を見せている。