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2021 賃貸不動産経営管理士試験模擬問題(10)

問題

【問 46】 平成30年10月26日国土交通省が公表した「今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言」における次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 家主の高齢化や空き家の増大等に伴い、賃貸住宅管理業の裾野が広がり、今後もその拡大が見込まれており、その適正な管理の確保が欠かせない状況となっている。

2 サブリースの借り上げ家賃については、管理業者が、家主に対して、将来の家賃変動や、当初家賃の根拠を示すことは、家主と管理業者間のトラブル防止の方策にはならないと考えられる。

3 管理の専門家である賃貸住宅管理業者への期待が高まる一方、賃貸住宅管理業者との間のトラブルは依然として発生しており、重要事項説明や契約書面の交付がなされず、根拠が不明確なまま賃料が管理報酬と相殺される等の管理に関する苦情・相談が現状においても寄せられている。

4 小規模な管理業者については、地域における属人的な信頼関係において行われているものが中心であることから比較的トラブルは少なく、預り金や報酬等取り扱う金額も少額である。

【問 47】 賃貸不動産経営管理士「倫理憲章」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

1 公共的使命とは、賃貸不動産経営管理士の持つ公共的使命を常に自覚し、公正な業務を通して、公共の福祉に貢献することである。

2 秘密を守る義務に関しては、自己の所属する管理業者を退職して、当該賃貸不動産の管理に携わらなくなった後も、引き続き負うべきものである。

3 賃貸不動産経営管理士は、自らの能力や知識を超える業務の引受けを行ってはならない。

4 賃貸不動産経営管理士は、常に依頼者の立場で職務を行い、万一紛争等が生じた場合には、誠意をもって、その円満解決に努力しなければならない。

【問 48】 建築基準法の傾斜路及び階段に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 階段に代わる傾斜路の勾配は、10分の1を超えないことが必要である。

2 階段に代わる傾斜路の表面は、粗面とし、又はすべりにくい材料で仕上げることが必要である。

3 高さ1メートルを超える階段には、手すりを設けなければならない。

4 高さ1メートルを超える階段の幅が3メートルを超える場合においては、原則として、中間に手すりを設けなければならない。

【問 49】 不動産の税金に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア 印紙税は、土地の賃貸借契約書だけでなく、建物の賃貸借契約書にも課される。

イ 土地の購入代金については消費税が課されるが、建物の購入代金には消費税が課されない。

ウ 住民税の徴収方法における普通徴収は、一括納付か、年4回の納税かを選択できる。

1なし 2一つ 3二つ 4三つ

【問 50】 不動産証券化に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 不動産の証券化に携わる際に金融商品取引業にあたる業務を行うには、金融商品取引法が適用される。

2 金融商品取引業は4つに分類され、いずれの事業を行う場合にも、登録を受けたものでなければできない。

3 金融商品取引業における第1種金融商品取引業とは、流動性の低い有価証券の販売・勧誘等を取り扱う業務である。

4 金融商品取引業における投資助言・代理業とは、投資助言や投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介を行う業務である。

 

正解と解説

【問 46】 正 解 2 

1 適切。家主の高齢化や空き家の増大等に伴い、賃貸住宅管理業の裾野が広がり、今後もその拡大が見込まれており、その適正な管理の確保が欠かせない状況となっているだけでなく、近年のサブリースに係るトラブルへの対応の強化が必要である(今後の賃貸住宅管理業のあり方に関する提言3)。

2 適切でなく、正解。サブリースの借り上げ家賃については、管理業者が家主に対して、将来の家賃変動等はもとより、当初家賃の根拠を示していくこともトラブル防止に向けた方策の一つと考えられる(同提言2(2))。

3 適切。賃貸住宅管理業者との間のトラブルは依然として発生しており、賃貸住宅管理業者から賃料の送金が滞る、賃借人に敷金が返金されない、重要事項説明や契約書面の交付がなされず、根拠が不明確なまま賃料が管理報酬と相殺される等の管理に関する苦情・相談が現状においても寄せられている(同提言2(1))。

4 適切。賃貸住宅管理業者登録制度の趣旨に則った適正な業務の遂行について、今後さらに徹底を図ることが課題であるが、小規模な管理業者については、地域における属人的な信頼関係において行われているものが中心であることから比較的トラブルは少なく、預り金や報酬等取り扱う金額も少額であるため、一定の配慮を要する(同提言2(4))。

【問 47】 正 解 4

1 適切。賃貸不動産経営管理士のもつ、公共的使命を常に自覚し、公正な業務を通して、公共の福祉に貢献することが必要である(倫理憲章(一))。

2 適切。賃貸不動産経営管理士は、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他に漏らしてはならない。その職務に携わらなくなった後も同様とする(倫理憲章(七))。

3 適切。賃貸不動産経営管理士は、自らの能力や知識を超える業務の引き受けはこれを行わないことが必要である(倫理憲章(六))。

4 適切でなく、正解。賃貸不動産経営管理士は常に公正で中立な立場で職務を行い、万一紛争等が生じた場合は誠意をもって、その円満解決に努力することが求められている(倫理憲章(四))。「常に依頼者の立場」ではなく、「常に公正で中立な立場」で職務を行う必要がある。

【問 48】 正 解 1

1 誤りで、正解。階段に代わる傾斜路の勾配は、「8分の1」を超えないことが必要である(建築基準法施行令26条1項1号)。

2 正しい。階段に代わる傾斜路の表面は、粗面とし、又はすべりにくい材料で仕上げることが必要である(同条1項2号)。

3 正しい。階段には、手すりを設けなければならないが、高さ1メートル以下の階段の部分には設ける必要はない(同法施行令25条1項・4項)。

4 正しい。高さ1メートルを超える階段の幅が3メートルを超える場合においては、中間に手すりを設けなければならない。ただし、けあげが15センチ以下で、かつ、踏面が30センチ以上のものにあっては、この限りでない(同条3項・4項)。

【問 49】 正 解 3

ア 誤り。土地の賃貸借契約書は、印紙税の課税対象となるが、建物賃貸借契約書は、課税文書には該当せず、印紙税は課税されない。

イ 誤り。本肢の結論は逆である。土地の購入代金については消費税は課されないが、建物の購入代金には消費税が課される。

ウ 正しい。住民税の徴収方法には、普通徴収と特別徴収がある。普通徴収は、一括納付か、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)の納税かを選択できる。

 誤っているものはア、イの二つであり、正解は3である。

【問 50】 正 解 3

1 適切。金融商品取引業に当たる業務を行うには、金融商品取引法が適用され、内閣総理大臣の登録が必要である(金融商品取引法29条)。

2 適切。金融商品取引業は、第1種金融商品取引業、第2種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業の4つに分類され、いずれの事業を行う場合にも、内閣総理大臣の登録を受けたものでなければできない(同法28条、29条)。

3 最も不適切で、正解。第1種金融商品取引業とは、株式、債券、投資証券等の流動性の高い有価証券を取り扱う証券会社による業務である(同法28条1項、2条8項1号・8号)。

4 適切。投資助言・代理業とは、投資助言や投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介を行う業務であり、個人でもでき、営業保証金が必要である(同法28条3項、2条8項11号・13号)。