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大言小語 地震に更なる備えを

 10月7日に起こった「千葉県北西部を震源とする地震」は、10年ぶりに関東地方に震度5強の揺れをもたらした。東日本大震災当時と同様、帰宅困難者が多く発生したが、改善されたのだろうか。

 ▼10年前の東日本大震災当時、JRでは、帰宅困難者を駅舎から追い出すという信じられない対応をし、多くの非難を浴びた。今回は、国土交通省から鉄道事業者に対し、運行が再開した場合、終電時間以降も輸送を継続するよう、また、タクシー業界にも混雑駅に優先的に配車するよう要請したことで翌日午前3時までに解消した(10月12日斉藤鉄夫国交相会見)。

 ▼とは言っても、まだ多くの路線で運転見合わせが続いていた。そして、タクシーもコロナ禍前の7割程度しか稼働していないため、迅速な対応は難しかったようだ。そうした中、これまでになかった取り組みが、「一時滞在施設」の開設だ。東京都が要請して設けた足立区の施設では、常磐線で足止めを食らっていた乗客などが訪れ、休息を取っていたという。

 ▼しかし港区では、区の施設のほか、民間施設も使えるように協定を結んでいたが、地震発生が深夜で、要請のため電話をしても通じず、利用できた人はわずか一桁にとどまった。東日本大震災の時とは進展したものの、まだまだ工夫の余地がある。首都直下地震に備えるためにも、更なるブラッシュアップが必要だ。