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大言小語 「人」を見ること

 全国的な知名度の、ある中学教師が長らく教えてきた漢字「人」の意味は「支え合う」ではなく、「自立」だったと衝撃発言をした。テレビドラマ上の話だが。漢字は「表意文字」だから、見方次第で意味が変わるのだろうか。

 ▼オンライン化が進展している。企業の新卒採用面接では、会社説明会の段階から、一気通貫にオンライン化した選考が実施されたことだろう。リクルート(東京都千代田区)が発表した調査結果では9月1日時点の就職内定率が90%となった。安心している大学生は多いと思う。

 ▼企業の商談でもオンライン化が普及している。見方を変えると学生にとってオンライン面接は、その準備運動になるのかもしれない。パソコンの画面を通して、いかに自身を商品やサービスを訴求するのか、お互いの真意をどのようにつかむのかに、なんら変わりはないはず。

 ▼社内ではどうだろうか。クアルトリクス(東京都千代田区)の調査によれば、在宅勤務やテレワークの普及によって、業績が平均以下の「ローパフォーマー」ほど、交流機会の減少を感じる人がほかに比べて、圧倒的に多いという。

 ▼そう感じる理由は、会社の支援が減って手元業務が少なく、自身が何をすべきか不明確で、帰属意識も失われつつあるからだとか。ここで「人」の意味として新たに「頼る」が加わるのかもしれない。うわべだけでは分からない。企業が新たに配慮すべき負担になりそう。