資格・実務

2021 賃貸不動産経営管理士試験模擬問題(4)

問題

【問 16】 宅地建物取引業法に基づき、テレビ会議等のITを活用した重要事項説明(以下「IT重説」という。)を実施する場合に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

ア IT重説を行うときは、相手方の承諾があれば、あらかじめ送付した重要事項説明書には、宅地建物取引士の記名押印がなくてもよい。

イ 宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していることが必要である。

ウ 建物の貸借の媒介又は代理を行う場合には、IT重説をすることができるが、宅地の貸借の媒介又は代理を行う場合には、IT重説はできない。

エ 宅地建物取引業者が、自らの宅地・建物を売主として相手方と売買契約を締結する場合、契約をする前に、買主になろうとする者にIT重説をすることができる。

1 アとイ 2 イとエ 3 ウとエ 4 アとエ

【問 17】 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合における宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、特に断りのない限り、当該建物を借りようとする者は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 建築基準法に規定する容積率及び建蔽率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。

2 当該建物が既存の住宅であるときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。

3 台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について説明しなければならない。

4 借賃の額、支払時期及び支払方法について説明する必要はない。

【問 18】 宅地建物取引業法及び不当景品類及び不当表示防止法に基づく不動産の表示に関する公正競争規約に従った不動産の表示方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 半径200メートル以内に小学校及び市役所が所在している中古住宅の販売広告においては、当該住宅からの道路距離の表示を省略して、「小学校、市役所近し」と表示すればよい。

2 住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.4m2(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いなければならない。

3 宅地の販売広告における地目の表示は、登記簿に記載されている地目と現況の地目が異なる場合には、登記簿上の地目だけでなく、現況の地目も併記しなければならない。

4 改装済みの中古住宅について、改装済みである旨を表示して販売する場合、広告中には改装した時期について明示する必要はないが、改装の内容は明示しなければならない。

【問 19】 普通の借家契約及び定期建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 定期建物賃貸借契約(定期借家契約)を締結する場合は、20年を超える存続期間を定めることができるが、定期建物賃貸借契約以外の建物賃貸借契約(以下、普通借家契約という。)を締結する場合は、20年を超えることができず、20年を超えた場合には20年となる。

2 普通借家契約は、書面でも口頭でも締結することができるが、定期建物賃貸借契約の締結は、書面でしなければならず、その書面は公正証書に限定されている。

3 定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物賃貸借は終了する旨を説明しなければならないが、この説明は書面でも口頭でもよい。

4 普通借家契約の存続期間を10か月と定めた場合には、期間の定めがない借家契約となるが、定期建物賃貸借では存続期間10か月の定期建物賃貸借として認められる。

【問 20】 敷金に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 賃貸借契約書に借主からの敷金の相殺について禁止する条項がない場合、借主は契約期間中、敷金返還請求権と賃料債務を相殺することができる。

2 賃貸借契約書に敷金の返還時期について何らの定めもない場合、借主は敷金の返還を受けるまでの間、建物の明渡しを拒むことができる。

3 適法に借主の地位の承継があったとしても、特段の事情のない限り、敷金は新借主に承継されない。

4 賃貸借契約書に敷金によって担保される債務の範囲について何らの定めもない場合、敷金によって担保される借主の債務は賃料債務に限定され、貸主は原状回復費用に敷金を充当することはできない。

正解と解説

【問 16】 正 解 2

ア 誤り。宅地建物取引士により記名押印された重要事項説明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していることが必要である。

イ 正しい。対面で説明するときと同じように、画面上で宅地建物取引士証を提示し、相手方が宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認しなければならない。

ウ 誤り。建物の貸借の媒介又は代理だけでなく、宅地の貸借の媒介又は代理をする場合にも、IT重説が可能である。

エ 正しい。自ら宅地・建物の売買、交換をする場合も宅地・建物の売買、交換、貸借の代理・媒介をする場合もIT重説が可能である。令和3年度の法改正点である。

 以上により、正しいものの組み合わせはイ、エであり、正解は2である(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方35条1項関係2)。

【問 17】 正 解 1

1 誤りで、正解。建物の貸借の媒介をする場合には、容積率や建蔽率の制限は重要事項として説明する必要はない(宅地建物取引業法35条1項2号、施行令3条3項)。

2 正しい。既存の建物を自ら売買・交換をする場合はもちろん、既存の建物の売買、交換及び貸借の媒介又は代理をする場合には、建物状況調査を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない(同法35条1項6号の2イ)。

3 正しい。建物の貸借の媒介又は代理をする場合には、重要事項として、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況について説明しなければならない。売買又は交換、売買又は交換の媒介又は代理の場合には、説明不要である(同法35条1項14号イ、同法施行規則16条の4の3第7号)。

4 正しい。借賃の額、支払時期及び支払方法については重要事項ではないので、説明する必要はない。

【問 18】 正 解 3

1 誤り。学校、病院、官公署等は、(1)現に利用できるものを表示し、(2)物件までの道路距離等を明示、(3)その施設の名称を表示(ただし、公立学校及び官公署の場合は、パンフレットを除き、省略することができる)することが必要である(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則10条29号)。

2 誤り。住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62m2(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いなければならない(同条16号)。

3 正しく、正解。地目は、登記簿に記載されているものを表示しなければならないが、登記簿上の地目が、現況の地目と異なるときは、現況の地目を併記しなければならない(同条19号)。

4 誤り。建物をリフォーム又は改築(以下「リフォーム等」という)したことを表示する場合は、そのリフォーム等の内容及び時期を明示しなければならない(同条21号)。

【問 19】 正 解 4

1 誤り。定期建物賃貸借契約であろうと、普通借家契約であろうと、20年を超えることができ、更新する場合にも、20年を超えることができる。

2 誤り。普通借家契約は、書面でも口頭でも締結することができる(条文に特別の定めがない)。定期建物賃貸借契約の締結は、公正証書による等書面でしなければならないと定められている。公正証書は単なる例示であって書面であれば何でもよい(借地借家法38条1項)。

3 誤り。定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により当該建物賃貸借契約は終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。この文書による、事前の説明をしないで定期建物賃貸借契約を締結したときは、契約の更新のある普通借家契約となる(同法38条2項)。

4 正しく、正解。存続期間1年未満の普通借家契約を締結したときは、期間の定めがない建物賃貸借契約となる(同法29条1項)。定期建物賃貸借は、1年未満のものも認められる。

【問 20】 正 解 3

1 誤り。貸主は、借主が賃貸借に基づいて生じた金銭債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができるが、反対に、借主は、貸主に対し、敷金をその債務の弁済に充てるよう請求することはできない(民法622条の2第2項)。したがって、借主から相殺をすることはできない。

2 誤り。敷金の返還と明渡しは同時履行の関係にはならず、明渡しが先である(同条1項1号)。

3 正しく、正解。貸主の承諾を得て賃借権を譲渡した場合、敷金は移転しない(同条項2号)。

4 誤り。敷金は賃貸借終了後、明渡しがあるまでに、賃貸借契約により貸主が借主に対して取得することができる一切の債権を担保するものである。したがって、原状回復費用も敷金から差し引くことができる(同条1項)。