マンション・開発・経営

大手デベの中規模オフィス開発 働きやすさや健康に配慮

 中規模クラスのオフィスビル開発においても、働きやすさや環境配慮を訴求する動きが顕在化している。自由度が高い執務空間の提案や開放的な共用部、緑を配したオープンスペースの確保、エレベーターなどの非接触化などを導入。新型コロナを契機に、テナント企業も従業員の働きやすさや心身の健康状態に関心が高まっており、「働き方の多様化、感染対策が必要となり、今後も求められてくる」(三井不動産)と見ている。

 三井不動産は、同社のオフィスビルでは初のZEB Readyを取得予定の新築オフィスビル「田町M-SQUARE Garden」(東京都港区芝五丁目)を8月2日に着工した。竣工は22年10月の予定。特徴は、オフィスワーカーの多様な働き方が可能となる約500m2の緑豊かな屋外広場や、開放的な共用ラウンジ「Park Lounge」を整備し、最上階の11階には屋外空間と一体利用可能な入居者限定のカフェスペースを設ける。そのほか、非接触式エレベーターや高性能フィルターの導入、トイレへの抗菌部材の使用など感染対策の設備仕様とする。基準階は、約730m2の整形無柱とし、自由度の高い開放的な執務空間を実現する。

 ZEB Readyは、省エネ設備でエネルギー消費量を50%以上削減したビルに対して認証される制度。また、計画地の一部に太陽光パネルを設置して、外構照明などのエネルギーとして賄うなど環境に配慮した取り組みを行っている。

コロナ後見据えたオフィス提案

 三菱地所は、アフターコロナを見据えたオフィス提案を行っている。同社と有限会社五光が共同で推進する「(仮称)南青山三丁目計画」(東京都港区南青山三丁目)は、その一つ。7月に着工し、23年2月の竣工を予定している。

 特徴は、開放感のあるアウターバルコニーや内部空間と緩やかにつながるインナーバルコニー、カウンターも備えた最上階13階のルーフトップテラスなど自然と人が集う空間を整備。また、緑豊かなポケットパークを整備するなど、設計を担当した三菱地所設計による心身の健康や環境などに配慮する「歓共健築」のコンセプトを生かしている。

 外部空間と連続した緑豊かな環境で働くことができる新たなオフィスを提案。コロナ禍で働き方が多様化する中、仕事と仕事以外の時間がシームレスにつながる心地よい空間を実現するとしている。

 基準階の面積は、約770 m2、天井高2.8メートルの広々とした設計。外気を取り込みやすい設計のインナーバルコニーやルーフトップテラスといった外部空間を広く設けることで、感染症対策につなげている。