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東京近郊やリゾート地でオープン 鉄道事業者、施設を用途変換 ワークスペースに改装

 鉄道事業者によるワークスペースの整備が活発化している。所有する遊休施設や飲食スペースをそれぞれ改修して、シェアオフィスやワーケーション施設を開業。ライフスタイルが変化する中で、駅周辺の施設の用途変換で新たなニーズに対応する。

東急電鉄、休業博物館をシェアオフィスに

 東急電鉄は、8月1日から昨年2月末から休館している「電車とバスの博物館B棟」(神奈川県川崎市宮前区)を個人向けシェアオフィス「DENBUSワークスペース」として暫定活用を開始した。「大人がワクワクするアミューズメントシェアオフィス」がコンセプトで、約1年間の利用を予定している。鉄道事業本部運輸計画課の澤口俊彦氏は「近隣のシェアオフィスが少なくニーズが高いと考えている」とし、遊休資産の活用として有効と判断した。

 同ワークスペースは、既存の施設を生かしながら、29席を確保。200万円という低コストでシェアオフィス化を実現した。利用料金は1時間200円で、1日最大1000円。電源やWi-Fiの設置、ウェブ会議も可能となっている。施設の特徴としては、子供向けイベント施設に設置していたものを生かした点で、人工芝にテントを張った「アウトドアスタイル」(全9席)、実際の鉄道車両を活用した「510形」(全6席)、飛行機のコックピット「YS-11」(全1席)、駅の廃材を活用した「えきもくオフィス」(全13席)がある。また、飲食可能なブレイクコーナーには、鉄道シミュレーターが用意され気分転換が図れる。

 同社は、テレワークの定着や、住宅地近接のシェアオフィスのニーズの高まりに対応するため、7月12日から、武蔵小杉駅と長津田駅の旧定期券売り場を暫定活用した個人向けシェアオフィスの提供を開始している。

 今回の取り組みでは、オフィスデザインやオフィス家具のサブスクリプションの導入実績が豊富な(株)subsclifeや、入退室から決済までアプリ内で完結するテレワークプレイス提供サービス「Suup」と協業。オフィス家具の購入・システム開発などの初期費用や、無人運営により人件費などを削減することで低価格設定とした。また、5月にスタートしたプロジェクト検討から約2カ月という短期間で、博物館や定期売り場のシェアオフィス化を実現した。

西武プロ、JR東などワーケーション施設

 西武プロパティーズ、野村不動産、東日本旅客鉄道は、軽井沢駅の南側にあるプリンスグランドリゾート軽井沢内「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」内に、共同でワーケーション施設「Karuizawa Prince The Workation Core」(約500m2)を7月29日に開業した。野村不動産とJR東日本のシェアオフィス事業のノウハウを反映。オープンスペースを多数用意すると共に、1人用完全個室や会議室も備える。新幹線の待ち時間などの利用を想定している。既に多数の問い合わせが寄せられており、関心は高いと言う。