マンション・開発・経営

「リビオ」20周年機に刷新 社内シンクタンクも設立 日鉄興和不

 日鉄興和不動産は、同社の展開するマンションブランド「リビオ」シリーズの誕生20周年を機に、7月12日からブランドのロゴとコンセプトをリニューアルした。併せて、同社のマンション事業における調査や研究、企画検討などを統括する社内シンクタンク「リビオライフデザイン総研」も設立。これまで分野や部門ごとにプロジェクトを進めていた「リビオ」を統一的なコンセプトの下で集約し、その方向性や知見を共有してブランド力の向上を目指す。

 日鉄興和不動産の「リビオ」は、01年7月の初物件から20年が経過したマンションブランドで、ビル事業の「インターシティ」「ビズコア」などと並び、同社の中核を担う事業。ファミリー層向け分譲「リビオ」のほか、都市型コンパクト「リビオレゾン」、ハイグレード物件「グランリビオ」、賃貸用「リビオメゾン」、学生向け賃貸「リビオセゾン」など、複数のコンセプトに基づくシリーズ展開で年間1000~1500戸程度の開発が行われている。

 供給戸数や中古マンション価格の評価など、市場で一定の実績を上げているものの、同社が20周年を機に改めて事業を見つめ直す中で、課題や強化すべきポイントなどが顕在化。7月12日に開かれた「『リビオ』リブランド発表会」で、同社住宅事業本部長の猪狩甲隆常務は「これまでは物件ごとの独自性を重視してきた」ため、シリーズや物件によってロゴやコンセプトなどが異なり、統一感に欠けていた点を課題として挙げた。

 またその影響もあってか、マンション購入検討者における「リビオ」のブランド認知度は、「ブランドだけ知っている」を含めても39%(同社調べ)にとどまる。猪狩常務は「残念ながら業界内でも認知度は低い」と率直に認め、ブランド力強化による認知度向上への意欲をにじませた。

ロゴ統一、認知度向上へ

 今回のリブランディングで、同社は〝ライフデザイン〟をキーワードとして「リビオ」のブランドコンセプトを刷新。「顧客に寄り添うこと」「創意工夫」「先進性」をブランドの強みと位置付け、基本デザインを統一したロゴの下、「リビオ」のイメージに一貫性を持たせて独自の立ち位置を確立し、認知度の向上を目指す戦略だ。

 具体的なアプローチは、引き続きマンション購入検討者向けのウェブ媒体を土台としつつ、開発物件の周辺地域における周知などを進める。また、将来的にはテレビCMなどによる一般層へのプロモーションも検討していく方針。

研究成果を集約、展開

 同ブランドの刷新と併せ、同社は社内シンクタンク「リビオライフデザイン総研」(以下、総研)を設立した。

 同社はこれまでにも、単身者向け事業の「プラスワンライフラボ」など、企画・研究プロジェクトチームを展開していたが、物件やシリーズ単位での独立した取り組みであり、「(知見や成果の)横展開ができていなかった」と総研の佐藤有希所長は語る。

 そうした調査・研究活動を総括、集約し、企画から販売まで幅広い分野で活用していくため、各調査・研究関連プロジェクトは取り組みを継続しつつ、総研がそれらの上位組織として知見の集約と共有、発信を担っていくという体制を整えた。

 ブランド刷新と総研設立による効果について、同社はブランド認知度や顧客への提案力向上を第一としており、供給量の拡大を図るものではないとの認識を示す。猪狩常務は「各物件ごとに、ある程度品質等にこだわって事業を行っていく方針。今年度の供給予定戸数は約1700戸だが、当面は同程度のペースでしっかり企画・開発を進めていきたい」と見通しを述べた。