物流ソリューションを提供しているGROUND(以下グラウンド社、東京都江東区、宮田啓友社長)は8月から、自社開発したAI活用の物流施設統合管理・最適化システム「GWES」の提供を開始する。新システムは物流施設内の作業の進ちょく状況をリアルタイムで把握でき、在庫配置の効率性向上などを促すもの。初年度は約10社への提供を目指す。24年に稼働を予定するトラスコ中山(東京都港区)の物流施設に導入される予定だ。
6月15日の記者会見で宮田社長は「物流施設ではオペレーションの迅速対応、複雑で高度な判断が求められている。判断業務はAIを使って最適化しつつ、ロボットを使いながらオペレーションの合理化、スピード化を実現する時代になる」と新システムの必要性を説明した。
新システムはソフトウェア、マテハンやロボットといったハードウェアをシームレスに連携させ、物流施設全体の最適化や可視化を実現するもの。作業の進ちょく状況をリアルタイムで可視化でき、翌日以降の作業量のシミュレーション機能や在庫の可視化機能を持つ。更に、作業効率、保管効率の高い在庫配置の提案や、施設内のレイアウト変更、動線ルールを含む地図情報がデジタル化でき、オペレーションの効率化を促す。
グラウンド社は新システムのベースとなったAI物流ソフトウェア「DyAS」を新システムに統合すると共に、販売・導入支援・保守サポート体制を再構築する。新システムは初年度で約10社への提供を図り、23年度の売り上げとして20億円の目標を掲げている。
トラスコ中山の施設に導入
新システムは機械工具卸のトラスコ中山が24年に稼働を予定する物流施設「プラネット愛知」(愛知県北名古屋市)に導入される予定だ。トラスコ中山の直吉秀樹取締役物流本部長は「倉庫内の人員配置計画は従来、人が判断してきた。将来的には仕事量の予測、要員配置の自動化まで(新システムで)対応できれば」と期待を述べた。
グラウンド社は6月末までにトラスコ中山から第三者割当増資で5億円を調達。資金は物流データの整備、ソフトウェア標準化モデルの研究・開発、営業や販売体制の強化に当てる。