総合

大言小語 個人の意思を第一に

 住宅・不動産業界においても、新型コロナワクチンの職域接種に関する取り組みが目に見えて進んでいる。もちろん意図はそれぞれだろうが、地域と共に事業を営む住宅・不動産関連企業だからこそ、事業で関わる人々の安全・安心に貢献する意識が根底に強くあるはずだ。接種を希望する人が速やかに受けられるよう、円滑な実施を期待したい。

 ▼一方で、リスクを考慮して接種を希望しない人もまた多く存在する。政府や社会が接種を強く推進する風潮の中、そうした人が職場などで圧力を感じることのないよう、個人の意思を尊重することもまた求められる。厚生労働省はワクチン接種について、HPなどで「同意のある人に限り行われる」ことを強調し、職場等において未接種者に対し接種の強制や差別的な扱いをしないよう戒めている。職域接種が広まるほど、このことに留意する必要性は更に増すだろう。

 ▼やや牽強付会かもしれないが、住まいの選択とて本質は同じだ。賃貸・持ち家、戸建て・マンション、新築・中古……求めるものは人それぞれのはずが、周囲から「新築が当たり前」「いつまでも賃貸では」などと価値観の圧力を受けるケースは残念ながらまだ多い。大切なのは、個人の意思を第一に、その実現のために全力でサポートすることではないか。住宅・不動産業界はそれを熟知しており、ワクチン接種においてもその精神は生かされると信じている。